フローチャートの概要と活用方法

フローチャートを活用すると、複雑なワークフローをわかりやすく視覚的に表現し、ボトルネックや非効率な点を簡単に特定できます。

フローチャートとは

フローチャートは、主にプロセスやシステム、コンピュータ アルゴリズムを表現するための図で、多くの場合、複数のステップで構成されるワークフローを文書化、計画、改善、視覚化する目的で使われます。フローチャートを作成するメリットは、ワークフローの目的や範囲を定義し、実施する必要のあるタスクを時系列で把握できる点です。フローチャートというコンセプトが最初に記録に残されたのは、1921 年、米国の産業技術者だったフランクとリリアンのギルブレス夫妻が米国機械学会(ASME)での講演において、図を利用したフロー型のプロセス チャートを発表したときのことです。その後フローチャートは、アート・スピナンジャーとベン・S・グレアムが取り入れたことがきっかけとなり、1920~1930 年代にかけて広く普及していきます。ASME は 1947 年、ギルブレス夫妻のアイデアを元にしたフロー型プロセス チャートの記号体系を採択。1949 年には、コンピュータ プログラムの開発計画にも利用されるようになりました。現在、この用途には擬似コードを使うのが一般的になっていますが、フローチャート自体は現在も生産性向上のための強力なツールとして広く利用され続けています。

現代のフローチャートでは、さまざまな形状の記号を使って、ワークフローを構成する個々の要素を記述し、矢印(流れ線)でステップの流れを表します。フローチャートには、手書きのシンプルなものから、コンピュータで生成する複雑なものまで、ユーザーのニーズに応じてさまざまな種類があります。

フローチャートで使われる記号の意味

これまでにフローチャートを目にしたことがあれば、その中でさまざまな形状の記号が使われていることに気付いたと思います。これらの記号は勝手気ままに書かれたように見えるかもしれませんが、実際にはそれぞれ事前に定められたプロセスやサブプロセスを示しています。コンピュータ プログラミングのための詳細なフローチャートでは数多くの記号を使用しますが、シンプルなフローチャートの場合、必要な記号はわずか数種類ということも珍しくありません。フローチャートの中で特に使用頻度の高い記号を以下に示します。

  • 処理記号:長方形で表され、プロセス内のステップを意味します。フローチャートの中で最も多く使用される記号です。
  • 開始/終了記号:角が丸められた長方形で表され、フローチャートの開始点と終了点に配置します。
  • 判断記号:菱形で表され、「はい/いいえ」や「true/false」などの回答が必要な設問を意味します。フローチャートはこの記号で複数の枝に分岐し、回答によって進む方向が決まります。
  • データ(入出力)記号:平行四辺形で表され、プロセスに対して入出力されるデータを意味します。たとえば、使われるリソースや生成されるリソースを示します。

ほとんどのフローチャート テンプレートは、上記の標準的な記号体系に従っていますが、自分でプロセス マップを作成する場合、必ずしもこのルールに従う必要はありません(特に、自分個人や社内チームで使用するフローチャートを作成する場合)。一番大切なのは、見る人がその内容を理解できることです。ただし、標準的な体系に従わない場合でも、混乱を防ぐため、できるだけ一貫性を持たせることをおすすめします。

フローチャートの用途

フローチャートは多目的なツールであり、幅広い用途に利用できます。一般的には、次の目的で使用されています。

複雑な仕組みやアイデアを簡素化、視覚化する

フローチャートでは、さまざまな形状の記号、色、方向線を使用することで、ビジネス プロセス診断によくある長大な文章よりも、はるかにわかりやすく物事を表現できます。ワークフローや概念を小さな要素に分解すると、プロセスの分析しやすさや全体像の把握しやすさが格段に向上します。

プロセスを文書化、記述、標準化して物事に対する認識を 1 つにする

チームで作業する場合によくあるのは、メンバーがそれぞれ自分に直接関係のある部分にばかり目を向けてしまうことです。こうした場合、コラボレーションでフローチャートを作成すると、チームが達成しようとしている全体目標を明確にして、メンバーの認識を分断するサイロを解消できます。問題に対する見解をメンバー全員で統一すると、問題解決に向けて協力しやすくなります。

チーム編成を最適化し、重複部分を特定し、プロセス改善のために協力する

実施する必要がある作業を視覚化し、その担当者を明確にすると、プロセスに潜む問題点を簡単に見つけ出せる場合があります。たとえば、作業の割り当てが多すぎるメンバー、逆に自由時間が多すぎるメンバーを特定して、割り当てを見直すといったことができます。プロセスを構成する各要素の目的を詳しく記述すると、本当に必要な要素、最適化の余地がある要素を発見しやすくなります。

情報を 1 か所に集約して進捗状況を一目で把握

多くのフローチャート、特に詳細で複雑な内容のものは、ワークフローのさまざまな段階で何度も参照する重要なドキュメントになります。ワークフローのすべてが詳しく記述され、実際のプロセスのすべてのステップが記録された 1 つのドキュメントは、プロセスの最中にも、プロセス終了後の分析の際にも大変重宝します。フローチャートを追跡ツール、評価ツールとして利用すれば、タスクは「可動部品」であると認識し、ワークフローの中で失敗しやすい要素を把握できるので、プロセスの円滑な進行を維持しやすくなります。

フローチャートはさまざまな目的に使用できますが、用途によっては特殊なフローチャートが必要になることもあります。たとえばスイム レーンを使うと、業務ごとのワークフロー プロセスを専用の列に分けて記述し、各業務のプロセスを明確にすることができます。この列は、役割、部門、プロセスの段階別に区切るのが一般的です。このようにすると、「スイム レーン」という名前のとおり、スイミング プールのレーンのようにフローチャートを視覚的に区分できます。スイム レーン図は常に必要というわけではありませんが、ワークフロー内の各区分に対する要求を一目で見分けられるようにしたいという場合にとても便利です。またデータフロー図は、判断に関するルール、ループ、制御フローがないという点が通常のフローチャートとの違いになります。データフロー図は、これらの要素がない代わりに、システム内でのデータの動き、特に「データはどこから来るのか」、「どこに移動するのか」、「どのように格納されるのか」という点に焦点を当てます。

この他の特徴的なフローチャートとしては、ビジネス プロセス モデリング表記法(BPMN)が挙げられます。BPMN は、ビジネス ワークフローを視覚的に表現するための標準規格です。ビジネス分析のための視覚的なモデリング言語として広く利用されており、準拠すべき規則とベスト プラクティスが含まれています。一般的なフローチャートと同じ記述法をベースにしていますが、BPMN が対応するのはビジネス プロセスに適用可能なモデリング コンセプトだけであり、それ以外の用途は想定されていません。

フローチャートにはさまざまな形式がありますが、情報を視覚化する手段はフローチャートが唯一というわけではありません。記号の形状や流れ線の存在から、一見フローチャートのように見える図でも、実際にはまったく異なる視覚化手法であることも珍しくありません。特殊な用途には、それに適した特徴を持つ図を使用したほうがよい場合もあります。たとえば、ディシジョン ツリー、マインド マップ、タイムライン、特性要因図などの選択肢があります。

フローチャートの作成方法

フローチャートの作成方法は、必要に応じていくらでもシンプルに、いくらでも複雑にすることができます。業界基準に従いながら作図できる専用ソフトウェアを駆使して技術的なプロセスを記述してもいいですし、まずメモ用紙を使って記号と矢印でさっと簡単に作図してもかまいません。どの程度の複雑さにするかは本当にあなた次第です。ただし、ビジネス プロセスを記述する場合や、チームの共同作業でフローチャートを作成する場合は、保存と共有が簡単な方法を選んだほうがよいかもしれません。その場合、Lucidchart など専用の作図ソフトウェアを使うと、個人やチームで複雑なプロセスを視覚化し、入り組んだワークフローをシンプルに表現できます。

Lucidchart は、フローチャート、マインド マップ、組織図など幅広い専門的な図やビジュアルを作成する機能を備えており、プロセスの正確な概要やチームのわかりやすい組織図を作成できます。また Dropbox Paper と連携できるので、Lucidchart で作成したドキュメントを Paper で直接プレビューし、コラボレーションの相手と簡単に共有できます。特別な設定は不要で、Lucidchart の公開リンクを Paper ドキュメントに貼り付けるだけで、Dropbox Paper によって自動的にそのドキュメントのプレビューが生成されます。このためチーム メンバーは、常に最新バージョンのドキュメントを参照しながら、そこにコメントを付け、リアルタイムで変更を加えることが可能です。プロセスのフローチャートを、そのプロセスに関わる当事者と簡単に共有できるので、複雑なプロセスも簡単に記述でき、必要な情報が漏れてしまうこともありません。

フローチャートは深い歴史を持つツールであり、多種多様なシステムを記述できる、時代を超えたツールです。プロセスの複雑さに行き詰まり、全体像を把握できずに困っているのなら、そのワークフローを視覚的にマッピングしてみましょう。解決策は、意外と自分のすぐ目の前に存在しているかもしれません。