株式会社日本翻訳センター
クラウドストレージ × 電子署名プラットフォームで 書類管理の高度化、コスト削減、情報共有を加速する
“ 従来は、翻訳者との契約関連書類を個人別にファイリングし、社内のキャビネットに保管していましたが、これをクラウド化すれば費用も労力も削減できると考えました。”
使用製品
Dropbox, Dropbox Sign
業界
プロフェッショナルサービス
規模
2-249人
場所
日本
抱えていた課題:紙の郵送による契約書のやりとりが管理と共有の難しさの原因に
外国語翻訳専門企業の先駆けとして、1962 年に創業した日本翻訳センター。東京タワーのほど近く、港区東麻布の本社を拠点に「人の手による翻訳」を基本とした、多言語の翻訳・通訳サービスを提供しています。
「近年は AI による機械翻訳が実用化されつつありますが、人の手による翻訳の価値が損なわれることはありません。当社は、文章が書かれた背景、執筆者の考えや思い、翻訳文書の用途や最終的な読み手への訴求効果までを考えた、高品質な翻訳サービスを目指しています」と同社の髙畠 リサ氏は紹介します。
そんな同社の財産といえるのが経験豊富な翻訳者です。多くのフリーランス翻訳者と業務委託契約を結んでいますが、一方で契約関連業務の作業フローには課題を抱えていました。
応募者から必要書類を送ってもらい、トライアルに合格ののち、互いの合意を経て契約を交わし実際の翻訳業務を委託します。従来、応募書類は暗号化した ZIP ファイルで送付してもらい、時間差でパスワードを受け取る「PPAP」で行っていました。しかし、人数が多いと作業負荷が高まるほか、情報セキュリティ的にも好ましくはありません。
「契約書はもっとアナログで、送付・捺印・返送をすべて紙の書類の郵送で行っていました。そのため、作業負荷に加えて印紙代、切手代などのコストも問題になっていました」と髙畠氏は振り返ります。
書類の管理にも課題を抱えていました。契約関連書類は翻訳者ごとにファイリングしてキャビネットに保管していましたが、その管理が煩雑化していたのです。
「当然、オフィスにいなければ書類の内容は確認できません。このようなあらゆる非効率を解消するには、書類をデータ化し、ペーパーレス化を図る必要があると考えていました」
と同社の増田 由紀子氏は話します。
ソリューション:Dropbox と Dropbox Sign を併用すれば 契約プロセスも電子化できると判断
一方で、Dropbox を採用した背景にはもう 1 つ別の事情もありました。
同社では、社内業務で扱う書類やコンテンツをまとめてオンプレミスのファイルサーバーに保管していますが、今後この機器の運用管理を手離れするため、クラウドストレージサービスを検討することにしたのです。
「その過程で、Dropbox と電子署名プラットフォーム『Dropbox Sign』が連携できることを知りました」と増田氏は言います。
Dropbox Sign は、法的拘束力のある電子署名を手軽に実現できるソリューション。Dropbox と組み合わせれば、ドキュメント作成から署名依頼、署名の確認、書類保管までのワークフローをシームレスに実現できます。
作業手順も簡単で、署名が必要な書類をアップロードし、署名者のメールアドレスを追加して「署名を依頼」をクリックするだけ。受け取った相手が署名すると、書類が Dropbox Sign アカウントに格納されます。進捗を追跡してリマインダーを送ったり、メンバーの権限に合わせてアクセス権を管理したりすることも可能です。
この 2 つのサービスの組み合わせが、まさに同社のニーズにマッチしました。
「当初はファイルサーバーのクラウド化を目的として Dropbox を検討し始めましたが、Dropbox Sign を併用すれば契約プロセスも電子化できると考えました。契約の電子化はいずれ必要だと考えていたため、これは絶好のチャンスだと思いました」と増田氏は述べます。
もちろん Dropbox 自体の機能も評価しました。操作が簡単で扱いやすく、同期が速いこと。また、機密性の高い書類を保管する上で不可欠なセキュリティもポイントになりました。
Dropbox は、指定した相手にファイルを安全にアップロードしてもらうことのできる「ファイルリクエスト」機能に加え、基盤のセキュリティも充実しています。不正アクセスを防ぐため、データを保存するサーバーのブロックごとに 256 ビットの個別暗号化を行っているほか、2 段階認証機能も実装。これなら安心してデータを預けられると考えました。
結果: 翻訳者ごとにファイルを集約管理ゆくゆくは社内業務の書類も移行予定
Dropbox と Dropbox Sign を利用することで、同社に多くのメリットをもたらしました。
まず利用開始したのは、契約プロセスを含む翻訳者とのやり取りです。両サービスの導入後、応募者からの書類の受け取りにはファイルリクエストを利用。新たに契約した翻訳者については、応募書類、トライアル結果、登録書類や契約書ファイルなど、あらゆる書類を Dropbox 上の個々人のフォルダに集約して管理しています。
「翻訳者とのやりとりは、このフォルダに置いた書類に共有リンクを発行する形で行っています。以前はデータと紙が混在しており、保管場所もばらばらだった書類を 1 カ所にまとめたことで、管理工数を 4 分の 1 程度まで減らせています。また、在宅勤務時のアクセスも可能になりました」と髙畠氏は満足感を示します。
契約作業も Dropbox と Dropbox Sign で完結しています。書類に捺印するための出社が不要になったことで、オフィスワークとリモートワークを効率よく使い分けられるようにもなりました。また、書類の郵送や不備の修正にかかる時間が圧縮できた結果、契約締結までの期間が以前の半分ほどに短縮できています。この点は登録する翻訳者の側にとってもメリットといえるでしょう。
大幅なコスト削減も実現できました。業務委託契約を紙の契約書で交わすと印紙代 4000 円が必要になりますが、電子契約の場合はそれが不要だからです。ほかにも郵送にかかる切手代や紙代、紙ファイルの保管スペースなどを削減できています。
「導入直後には大口の翻訳案件が発生し、多くの専門分野の翻訳者と速やかに契約しなければならないことがありました。その募集から契約へ至るプロセス管理は、Dropbox、Dropbox Sign の仕組みがなければそもそも無理だったと思います。急なビジネスの変化にも即応できる仕組みが実現できました」と髙畠氏は語ります。
今後は、オンプレミスのファイルサーバーにある書類・コンテンツも順次 Dropbox に移行していく予定です。移行すれば、オンプレミスのファイルサーバー機器の運用管理や、故障によるデータロスの心配が不要になります。60 年超の社歴を通じて蓄積した貴重なデータ資産を守る上でも、クラウド移行は理にかなったものといえるでしょう。また、プライバシーマーク付与事業者である同社にとって、クラウドストレージサービスの中でも複数のセキュリティ対策が施された Dropbox による運用は、個人情報の管理体制にも適しています。そして、クラウドに移行すれば、各種業務ファイルを在宅勤務時に閲覧することも可能になります。
同時に活用してみたい機能として検討中なのが、Dropbox Transfer です。相手が Dropbox のアカウントを持っていなくても、セキュアなファイルの転送・共有が可能です。翻訳に使う映像、音声などのファイルは大容量であることが多いため、それらのやり取りに活用できると同社は考えています。
契約プロセスの電子化、翻訳者関連情報の集約から、社内の書類の適正管理・共有まで⸺。
Dropbox と Dropbox Sign は、今後もますます多くの価値を同社にもたらすことでしょう。
Dropbox Sign と Dropbox 導入の主な効果
契約書の電子化により、紙の契約書で必要だった印紙代や切手代などが不要に。コストが大きく削減できている
契約作業にかかる工数や期間を削減。多くの専門翻訳者と契約する必要があった急な大口案件にも問題なく対応できるようになった
契約書の確認、捺印のために出社する必要がなくなった。リモートワークを含めた柔軟な働き方が実現できている
"Dropbox と Dropbox Sign の併用により、契約業務がシームレスに電子化され、飛躍的に業務改善と効率化を達成することができました。"