隈研吾建築都市設計事務所

抱えていた課題：会社の基幹となるクラウドストレージの導入を検討していた

日本を代表する建築事務所で、国立競技場や高輪ゲートウェイ駅など数多くの設計に携わっている隈研吾建築都市設計事務所。同事務所に所属している設計室長 松長 知宏氏は、社内の情報システムの管理者としての業務を担いながら、3D チームのリーダーとして設計プロジェクトのサポートをしています。近年注力している業務として「コロナ禍における新しい働き方に対応すべく、社内システムの大きな見直しを行いました」と語ります。

Dropbox 導入前は、オンプレミスのファイルサーバーを中心にデータを管理していました。以前より海外出張やリモートワークをするスタッフから、VPN を経由して会社のサーバーにアクセスする際に、ネットワークの負荷などでサーバーに接続できないといったトラブルが頻繁に報告されていたとのことです。また、間違ってデータを消してしまった際の復旧作業にも苦労していました。

「コロナウイルスの流行後は特に、分散型の多様な働き方をするスタッフが増え、さらには東京オフィス以外にも地方にサテライトオフィスを設ける動きもあり、会社の基幹となるストレージをどう構築していくかが課題となりました」
と松長氏は振り返ります。

ソリューション： 大容量データもスムーズにコラボレーション可能でクリエイターとの親和性も高い

 「クラウドストレージ導入にあたっていくつか製品を比較しましたが、Dropbox に決めた理由は使いやすさとセキュリティの大きく二つです」
と松長氏は述べます。

使いやすさに関しては、BIM データや 3DCG データなど 1GB を超える大容量のデータをやり取りすることが多い建築業界。チームで仕事をする上でも、データの同期速度や、確実にアップロードされたかという正確性は非常に重要です。Dropbox なら、インターネットが繋がるところであればスタッフが世界中のどこにいてもデータを安定して扱うことができます。海外拠点やサテライトオフィスにいるスタッフと東京オフィスにいるスタッフが、Dropbox 上で同じプロジェクトに携わることもあるとのことです。

同事務所の場合は、一人の 3DCG 担当者がモデリングやテクスチャの作り込みなどのさまざまな作業を行います。作業が進むにつれてアセットも増え、今まではそのようなデータは各々のパソコンのローカル上だけに保存されていました。

「Dropbox のデスクトップアプリのスマートシンクを活用すれば、Windows のエクスプローラーや Mac の Finder で Dropbox 上のデータを扱うことが可能です。アセットが多いプログラムでも自分のパソコンと同じような環境で作業ができるので、3DCG を扱うクリエイターにとっても非常に便利だと感じています」
と松長氏は話します。

もう一つの導入理由であるセキュリティについて、同事務所では会社の資産となるデータが膨大に存在するため、セキュリティにはかなり力を入れているとのこと。

「昨今、メールの添付ファイル暗号化が議論されていますが、社内でのデータの共有には Dropbox Transfer や共有リンクを活用するようになりました。データの共有はリンクを発行するだけと簡単なため、スタッフも便利に使っている機能です」
と松長氏は述べます。

また、同事務所は部門ごとにチームを編成するのではなく、所属する 200 人以上の設計者がプロジェクトごとにオーバーラップしながらチームが組織されています。プロジェクトごとに Dropbox のフォルダを作成し、特定のチームを紐づけることが容易にできるため、セキュリティを確実に担保できるようになりました。

結果：会社の資産となるデータも Dropbox ならセキュアに共有できる

ー 現在取り組んでいるアーカイブプロジェクトでは Dropbox を活用 ー

同事務所では、これまでの建築の設計に関わる写真や図面などのデータをアーカイブするプロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトの基幹には Dropbox を活用して、データベースのような形で扱えるように立て付けを行っている最中です。

一つのプロジェクトで膨大な容量を使っているデータもあり、以前はそのようなデータをすべて一括で保存する場所がありませんでした。Dropbox はほぼ容量無制限に使えるため、残すべきデータは残す体制が取れるようになってきました。

「ファイルサーバーの容量を気にする必要もなくなりましたし、バージョンごとにデータを遡ることもできるため、管理面における利便性も大幅に向上しました」
と松長氏は話します。

今後の Dropbox のさらなる活用展望として挙げられたのは、セキュリティと利便性のさらなる両立です。同事務所では現在、SSO（SingleSign On）で管理された会社の端末のみが Dropbox にアクセスできる体制をとっています。

「オフィスの情報にいつでもアクセスできるような体制の構築を続けながら、セキュリティと利便性のバランスをとっていきたいと思います」
と松長氏から期待が語られました。

* Building Information Modeling（ビルディング インフォメーション モデリング）