飛島建設株式会社
図面、資料をタブレットで確認できる環境を構築し 労働時間短縮、働き方改革の推進につなげる
“ 現場でいつでもタブレットを用いて Dropbox 上の図面データなどを確認できるようになりました。わざわざ現場事務所に戻る必要がなくなり、業務効率化も図れています。”
使用製品
Dropbox
業界
建設
規模
1000人以上
場所
日本
抱えていた課題:業務効率化、働き方改革の推進に向け、現場での情報確認の利便性が課題に
2018 年に創業 135 年を迎えた飛島建設。
これまで青函トンネルや東京湾アクアラインなど国内を代表する土木工事、数多くの建築工事に携わり、社会インフラ整備の一翼を担ってきました。近年は建設・防災領域の高度な技術で「未来の産業振興・発展を支える企業」となるべく、企業変革を推進。「New Business Contractor (新しいビジネスを創造する者)」への進化を目指しています。
「2020 年に向けたインフラ整備が最盛期を迎える建設業界では、社員の長時間労働の是正などが重要課題になっています。当社も、事業の 一層の発展を支える人材を確保・育成するには、IT 環境の整備をはじめとした働き方改革が急務だと感じていました」
と飛島建設の小澤 敦氏は話します。
この方針の下、同社は全社員に薄型軽量モバイル PC を配布したほか、現場での携帯用に、ファンレスで粉塵に強いタブレット端末も支給。現場・現場事務所・拠点オフィスといった「場所」に縛られないモバイルワーク環境を整備してきました。
その際、見直しが必要になったのが、各デバイスで閲覧するデータの管理方法です。
従来、現場の図面や工法の資料といったデータは、現場事務所に NAS を設置し保存・管理してきました。しかし、タブレット端末は、OS の違いから NAS のデータにアクセスすることが難しく、データは現場事務所の PC で確認していたといいます。
「図面などを現場で見られなければ、作業中に確認点が発生する度、事務所に戻る必要が生じます。 作業者がタイムリーに情報にアクセスできる、データの保管方法を考 える必要がありました」と同社の中矢 孝久氏は語ります。
ソリューション:簡単に大容量ファイルを共有・閲覧 操作も分かりやすく誰でも扱える
そこで同社は、新たなデータ保管方法について複数の手法を比較した結果、Dropbox を採用しました。
「タブレットで閲覧できることのほか、NAS 自体の故障・災害によるデー タ消失リスクや維持・運用にかかる負荷などを考慮すると、クラウド 型ストレージを前提に検討すべきと考えました。Dropbox は操作画面 が分かりやすく、IT に詳しくない人も簡単に使える点を評価し、導入を決めました。」と小澤氏は採用理由を語ります。
また、CAD データ、現場の記録写真といった大容量かつ大量のファイルを高速・安定してアップロードできる差分同期の機能や、オフライン環境でもファイルを閲覧できること、進行中のプロジェクトのみデバイスに同期をすることができる「スマート シンク」の機能、連携可能なアプリが多数あることなどもポイントになりました。
「さらに、私を含む現場の所長は、過去に携わった現場のさまざまなデー タを個人的に保有し、業務の参考にしています。このデータは増える 一方なので、NAS だと次々増設が必要になりますが、クラウドサービ スなら容量拡大も柔軟に行えます。これは、非常にありがたいと感じました」と中谷氏は述べます。
結果: いつでも・どこでも情報が確認可能 外部企業とのファイル共有作業も進める
飛島建設はテスト導入を経て、Dropbox の本格活用を開始。
施工中の現場から順次展開し、2020 年までに全現場へ展開する計画です。
「特に高層階での作業時に図面を確認したい箇所が出た場合、事務所へ の移動には時間も手間もかかるため、iPad で確認できるのは助かります。作業の効率化はもちろん、各担当者の業務負荷削減効果にもつなげることができています」
と導入効果について、同社の田中 優祐氏は話します。
また、現場のペーパーレス化にも貢献しています。
従来はプロッターで出力した図面を現場に持参することが多々ありましたが不要になりました。
「今はスマートフォンや iPad から、Dropbox の全デー タが閲覧できるため、『出力はしたが必要なのは別の図だった』という 事態も未然に防ぐことができています」と田中氏。
加えて、建設業界ではジョイントベンチャー(JV)方式で工事の施工にあたるケースも多数ありますが、その際も Dropbox が役立っています。
「JV では複数企業との情報共有が欠かせません。ただ、自社のファイルサーバーを外部に公開するのは、セキュリティやコンプライアンス上の問題があります。Dropbox は閲覧権限などを詳細に設定できるため、安心してファイルが共有できます」と小澤氏。同様のメリットを生かし、グループ会社間のファイル共有にも活用しているそうです。
同社は今後、一層さまざまなファイルの管理を Dropbox で行う方針です。
手始めに予定しているのが写真データ。各現場では、記録・報告用の現場写真を日々大量に撮影し、台帳を作って管理していますが、従来はその作成作業が労働時間増加の一因になっていました。
「現在 一部の現場では、写真を Dropbox に保存し、写真整理や台帳作成は Dropbox を介して外部に委託する試行を始めました。今後は職員の負担軽減を目指して広く展開していく予定です」と小澤氏は言い、労働時間短縮への期待を込めます。さらに将来的には、現場事務所の NAS を廃止し、全データを Dropbox に集約することも検討しています。
「そのほか、すでに本社のファイルサーバーをクラウドに集約した上で、 全社のコミュニケーションツールとして「Microsoft Office 365」を展開するなど、働き方改革は経営上の重要テーマの 1 つになっています。 一連の取り組みを支えるものとして、これからも Dropbox には期待しています」
と小澤氏は最後に語りました。
Dropbox 導入の主な効果
粉塵に強いタブレット端末を使って、現場から図面や資料などのデータにアクセスできることでの作業効率アップ
NAS からクラウドへ移動することで、故障・災害によるデータ消失リスクと管理の手間を著しく低減
過去の現場での参考資料など、増え続けるデータ管理に要する時間が大きく低減
"将来的には作業ログを分析し、作業のボトルネックをみつけより効率よく働ける環境にしていきたいです。"