こんな経験は誰しもあるはずです。新品のノート パソコンを開けたばかりのあなたは、セットアップを完了し、今まさに使い始めようとしています。そこで、はたと気づきます。古いパソコンには 2 TB のファイルが保存されていますが、手元にはそれらを手動で転送する 2 GB の USB フラッシュ ドライブしかありません。
さて、パソコン間でデータを転送するにはどのような方法が適しているでしょうか?幸い、大容量ファイルの転送はそれほど複雑な作業ではありませんが、どの方法を採用するかについては、OS の種類や転送するファイルの数などいくつかの要素に応じて決める必要があります。
それでは、どのような選択肢があるか見ていきましょう。
パソコンのデータを別のパソコンに転送する方法
適切な方法を用いることで、パソコン間でのデータ転送は驚くほど簡単になります。ここでは、それぞれのニーズに合わせた 6 つの方法をご紹介します。
- 外付けハード ドライブを使用する:これは一度で問題を解決できるシンプルな方法です。ソフトウェアやインターネット接続は必要ありませんが、物理的なデバイスの紛失、損傷、セキュリティ侵害といったリスクが伴います。
- データ転送ケーブルを使用する:近くにある 2 台のパソコンを直接接続し、内蔵ソフトウェアを使用して高速かつ効率的に転送します。両方のデバイスの電源がオンになっており、転送準備が整っていることを確認してください。追加のソフトウェアを設定する必要があるかもしれません。
- Wi-Fi または LAN 経由でローカル転送する:これは安全かつ高速な方法で、同一のネットワーク上にあるパソコン間でファイルを転送するのに最適です。転送速度は、ご利用のインターネット接続環境によって異なります。
- クラウド ストレージ経由で転送する:Dropbox などのクラウド ストレージ プロバイダを使用すると、暗号化され、拡張性に優れた、デバイスに依存しないファイル転送が可能になります。アカウントと安定したインターネット接続があれば、すぐに開始できます。
- 専用のパソコン移行ソフトウェアを使用する:システム全体を移行する場合や、高度なセキュリティを必要とする業界に最適です。この方法はきめ細かいカスタマイズが可能な反面、コストがかさみ、インターネット接続の安定性に左右される可能性があります。
- Dropbox Backup を使用する:異なる OS 間でも機能する、非常に安全で拡張性に優れたバックアップおよび復元ソリューションをお探しなら、Dropbox Backup が最適です。ファイルを元の場所に復元することもできます。
それでは、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。お客様の環境に最適な方法が見つかるはずです。
1. 外付けハード ドライブによる手動転送
物理的なストレージ デバイスである外付けハード ドライブを使えば、インターネット接続や追加のソフトウェアを必要とせずに、あるパソコンからファイルをコピーして別のパソコンに移動できます。
手動での転送手順は以下のとおりです。
- ステップ 1: 外付けハード ドライブを古いパソコンに接続する
- ステップ 2: ファイル エクスプローラーを開き、転送するファイルまたはフォルダをドライブにドラッグする
- ステップ 3: ハード ドライブを安全に取り外し、新しいパソコンに接続する
- ステップ 4: ファイル エクスプローラーでドライブを開き、ファイルを新しい場所に移動する
外付けハード ドライブは、インターネットに接続できない場合のファイル転送に最適です。また、転送ソフトウェアをダウンロードしてインストールする時間がない場合もあるでしょう。その場合も、外付けハード ドライブを使用すればデータをすばやく直接転送できます。
外付けハード ドライブの多くは、比較的小型で軽量です。ただし外付けハード ドライブは物理的なデバイスなので、簡単に紛失したり損傷したりする可能性があります。そんな経験、皆さんにもありますよね!USB メモリやメモリ カードなど、小型のフラッシュ ストレージは特に注意が必要です。
データを外付けハード ドライブにコピーする時、自動では暗号化やパスワード設定は行われないので注意しましょう。デバイスを盗まれたり置き忘れたりすれば、ファイルが重大なリスクにさらされる可能性があります。
メリット
- シンプルで直接的な転送
- ソフトウェアが不要
- コンパクトで持ち運び可能
- 1 回限りの出費
デメリット
- 物理的なデバイスであるため、損傷、盗難、破損のリスクがある
- 容量に制限がある
- 安全性が低い
2. データ転送ケーブル
転送ケーブルは、同じデスク上など比較的近くに置かれた 2 つのパソコンの間で確実にファイルを転送できる手段です。
データ転送ケーブルを使って新しいパソコンにファイルを転送する方法は以下のとおりです。
- ステップ 1: 適切な USB ポートを使用して両方のパソコンにケーブルを接続する
- ステップ 2: ケーブルに付属の(通常は自動インストールされる)ソフトウェアを起動する
- ステップ 3: 転送するファイルまたはフォルダを選択し、転送を開始する
ケーブル経由でデータを転送するには、それぞれのパソコン同士を近づけて置き、同時に電源が入っている状態にする必要があることにご留意ください。新しいパソコンをファイルの転送先にする場合は、先にセットアップを済ませ、使い始める準備を整えておきましょう。
メリット
- 内蔵ソフトウェアにより転送プロセスを自動化
- 外付けハード ドライブより高速
デメリット
- 各パソコンを互いの近くに置き、同時に電源を入れておく必要がある
- 一度しか使わないソフトウェアのダウンロードとインストールを要する場合が多い
ファイル転送に HDMI ケーブルは使えるか
ケーブルを使ったファイル転送には、専用のデータ転送ケーブルが必要です。HDMI や USB などのケーブルが手元にあるかもしれませんが、おそらく転送には使えません。ノート パソコンやスマートフォンの充電ケーブルを使うこともできません。
ファイルを今すぐ転送したいという場合は、ソフトウェアやウェブ アプリケーションを使った方法のほうが適しているかもしれません。ケーブルを使った転送は、専用のケーブルを用意する手間があるのに加え、他の手段に比べて低速です。

3. Wi-Fi または LAN 経由のローカル転送
Wi-Fi とローカル エリア ネットワーク(LAN)は、互いに近くに置かれたパソコン間でファイルやフォルダを転送する際に利用できる方法です。
LAN を経由すれば、一方のパソコンで作業をしながら、他方のパソコンの内蔵ハード ドライブを参照し転送するファイルを選択できます。各パソコンは、同一のルーターまたはネットワーク上にある限り、ファイル転送を行う必要があるときにいつでも LAN を介して互いを認識できます。
Windows 10 または 11 を使った Wi-Fi 経由のファイル転送:
近距離共有機能を使用して、Wi-Fi 経由で新しいパソコンにファイルをワイヤレス転送できます。
- ステップ 1: 両方のパソコンが同一の Wi-Fi ネットワーク上にあることを確認する
- ステップ 2: システム設定で[近距離共有]を有効にする
- ステップ 3: 送信するファイルを右クリックし、[共有]を選択する
- ステップ 4: 利用可能なデバイスのリストから転送先のパソコンを選択する
Mac を使った Wi-Fi 経由のファイル転送:
AirDrop、移行アシスタント、またはファイル共有を使用して、同一のネットワーク上にある Mac 間でファイルをワイヤレス転送できます。
- 両方の Mac が同一の Wi-Fi または LAN ネットワークに接続されていることを確認する
- ほんの数ファイルを転送する場合:Finder から選択できる AirDrop を使用して、近くにある Mac にファイルをワイヤレス転送する
- システム全体を移行する場合:[移行アシスタント]を起動し、メッセージに従ってデータと設定を移行する
- ネットワーク アクセスを有効にするには、[システム設定] > [一般] > [共有]の順に移動し、[ファイル共有]をオンにする
- オプション:Mac を Time Machine のバックアップ先として設定することで、継続的なアクセスと自動バックアップが可能
LAN 経由のファイル転送
LAN 経由の転送の場合は、両方のパソコンが同一のルーターベースのネットワーク上にあることを確認してください。これにより、一方のパソコンのファイルをもう一方のパソコンから直接参照できるようになります。
カフェや図書館などで利用できる、パブリック ネットワークやセキュリティが確保されていないネットワーク上でのファイル転送は行わないでください。このようなローカル転送では、プライベート ネットワークの方がより信頼性が高く安全です。
Wi-Fi および LAN 経由の転送ではインターネットに接続する必要があります。必ずプライベートかつ安全なネットワークを利用しましょう。カフェや図書館でパブリック ネットワークに接続している時は、ファイル転送を行わないようにしてください。
メリット
- プライベート ネットワークに接続している限り安全
- 外付けのハードウェアやフラッシュ ドライブが不要
- 高速
デメリット
- 転送速度がインターネットの安定性に左右される
- 各パソコンを互いの近くに置く必要がある

4. クラウド ストレージ経由の転送
クラウド ストレージを使用すると、最も簡単かつ柔軟にパソコン間でファイルを転送できます。物理的なデバイスやケーブルは一切不要で、インターネット接続があればどこからでもファイルにアクセスできます。
クラウド ストレージ経由で転送するファイルはすべて、データの暗号化により安全性が確保されます。さらに、外付けハード ドライブと異なり、クラウド ストレージ サービスは拡張性に優れており、必要な容量に応じたプランを選択できます。
Dropbox を使ってパソコン間でファイルを転送する方法は以下のとおりです。
- ステップ 1: Dropbox デスクトップ アプリを、両方のパソコンにダウンロードしてインストールする
- ステップ 2: 両方のデバイスで Dropbox アカウントにログインする
- ステップ 3: 古いパソコンで Dropbox アプリを開き、転送するファイルまたはフォルダを探す
- ステップ 4: ファイルを Dropbox フォルダにドラッグ & ドロップしてアップロードを開始する
- ステップ 5: 新しいパソコンで Dropbox フォルダを開き、ファイルを任意の場所に移動する
アップロードが完了すると、ファイルは両方のパソコン上の Dropbox フォルダで利用可能になります。そのまま Dropbox フォルダに置いておくことも、新しいデバイス上の別の場所に移動することもできます。
重要:古いパソコンでデータの消去やファイルの削除をする場合は、先に Dropbox アカウントからログアウトし、Dropbox アプリをアンインストールする必要があります。両方のデバイスでログインしている限り、同期済みファイルを一方のデバイスで削除すると、もう一方のデバイスからも削除されます。
自分のパソコンから他の人のパソコンにファイルをいくつか転送したいだけであれば、クラウド ストレージのファイル共有機能で効率的にデータを転送できます。クラウド ストレージにあるファイルを右クリックし、[共有]を選択するだけです。
メリット
- 暗号化によりデータの安全性を確保
- 物理的なデバイスが不要
- 拡張性に優れている
- 各パソコンを互いの近くに置く必要がない
デメリット
- プランに加入する必要がある
- 転送速度がインターネット速度に左右される
5. 専用のパソコン移行ソフトウェア
いくつかのファイルとフォルダを移動するだけなら、外付けハード ドライブやデータ転送ケーブルで十分対応できます。でも、古いパソコン上のデータをすべて新しいパソコンに移す場合はどうでしょうか?
その場合は、パソコン移行ソフトウェアが必要です。このタイプのソフトウェアは、大量のデータを処理しつつファイルの安全性を維持できるように作られています。メールなど、特定の種類のデータ移行に特化したツールもあります。
規制の厳しい業界で働いている場合は、パソコンに大量の機密情報が保存されているかもしれません。たとえば医療業界における保護対象保健情報(PHI)などです。こういったデータを転送するには、安全なファイル転送プロトコル(SFTP)に対応する専用の移行ソフトウェアを利用するべきでしょう。
SFTP ツールは、サイト間やネットワーク間での大規模データの転送に推奨されます。これは特に金融や法律など、情報の機密性が重視される業界にとって有用です。
パソコン移行ソフトウェアのメリットの 1 つは、古いパソコンの設定を新しいパソコンに適用できることです。ただし、このソフトウェアはサード パーティから購入してダウンロードする必要があります。一度しか使わない可能性のあるサービスのコストとしては割高かもしれません。
メリット
- 外付けハード ドライブやケーブルより詳細なカスタマイズが可能
- 非常に安全性が高い
デメリット
- プランに加入する必要がある
- 転送速度がインターネットの安定性に左右される

6. Dropbox Backup を利用した新しいパソコンへのファイル転送
Dropbox Backup を使用すると、わずか数クリックでクラウドからファイル システム全体を復元できるため、新しいパソコンへのファイル転送が容易になります。この方法なら、時間のかかる手動によるパソコン同士の接続なしに、新しいパソコンでファイルを復元できます。
わずか数回のクリックで古いパソコンからファイルとフォルダをバックアップし、新しいデバイス上で復元したりアカウント内に安全に保管したりできます。ファイルはデバイス上の元の場所に復元されるため、復元データを整理し元のフォルダに戻すという余計な手間をかけることなく、すぐに作業を再開できます。この方法は、Mac から Windows PC への移行など、OS を切り替える場合に特に便利です。
一度設定を行うだけで、すべてのパソコン上のすべてのファイルとフォルダを、1 か所にまとめて安全に保管できます。外付けハード ドライブに保存されたデータがある場合は、デバイスを接続するだけでバックアップが行われます。
Dropbox Backup を使ってファイルを新しいパソコンに転送するプロセスは以下のとおりです。
- ステップ 1: 古いパソコンで Dropbox Backup を設定し、バックアップするファイルとフォルダを選択する
- ステップ 2: バックアップが完了するのを待つ(ファイル サイズによっては時間がかかる場合があります)
- ステップ 3: 新しいパソコンに Dropbox Backup をインストールし、同じ Dropbox アカウントにログインして、復元プロセスを開始する
- ステップ 4: Dropbox によりファイルが新しいデバイス上の元の場所に復元される
メリット
- 非常に安全性が高い
- 転送で問題が発生しても、すぐにファイルを復元可能
- ファイルを元の場所に復元
- 拡張性に優れ、複数のデバイスに対応
- ファイルの迅速な復元に加え、長期的な保存も可能
- ファイルをパソコン上の元の場所に復元
デメリット
- ファイル保護サービスを継続して利用する場合、プランに加入する必要がある
- 転送速度がインターネット速度に左右される

ファイル転送後の作業
新しいパソコンにすべてのファイルを移動したらそれで終わりではありません。最終的なステップをいくつか踏むことで、データの保護や、古いデバイスの安全なリサイクル、売却、廃棄が可能になります。
ステップ 1: 古いパソコン内のデータを消去する
すべてのファイルを新しいパソコンに移動した後も、古いパソコン内には見逃したデータが残っている可能性があります。ですから、古いパソコンは処分する前に必ずデータを完全に消去してください。
Windows 8 以降の古いパソコン内のデータの消去:
- [設定]>[復元]の順で移動します。
- すべての個人用ファイルを削除し、工場出荷状態に戻すために、[リセット]オプションを選択します。
Windows 10 または 11 の OS を搭載した古いパソコン内のデータの消去:
- [設定]>[復元]の順で移動します。
- すべての個人用ファイルを削除して工場出荷状態に戻すには、[PC をリセットする]オプションを選択します。
- Windows の再インストールを次のいずれかの方法で実行するようメッセージが表示されます。
- クラウド ダウンロード:Microsoft のサーバーから新しいシステム ファイルをダウンロードします。
- ローカル再インストール:パソコンに既に存在するファイルを使用して再インストールします。
- 高速で安定したインターネット接続がある場合はクラウド ダウンロードを使用し、デバイスを再利用していて接続の安定性に左右されたくない場合はローカル再インストールを使用します。
ステップ 2: 新しいパソコンのバックアップを取る
今回紹介した転送方法のうち、外付けハード ドライブ、クラウド ストレージ、Dropbox Backup は、ファイル転送だけでなくファイル管理のニーズにも対応しています。ファイル転送用の保管場所を提供するだけでなく、データ バックアップ ソリューションとしての役割を果たすこともできるのです。
バックアップは、オリジナル ファイルが紛失あるいは破損した場合に復元を行うためのコピーです。パソコン全体をバックアップしておけば、データ転送プロセスで問題が発生しても、システム上のすべてのファイルとフォルダを復元できます。
Dropbox Backup のようなクラウド バックアップ ソリューションにより、ファイルの保護はこれまでになくシンプルになりました。ファイルやフォルダを Dropbox アカウントにアップロードするだけで、定期的に自動バックアップされます。簡単ですね!
Dropbox でファイルをバックアップし、迅速かつ簡単に移行
Dropbox Backup を利用すれば、ファイルを簡単にクラウドに自動バックアップできるため、スピーディーでスムーズなパソコンの移行を実現できます。


