DocSend Startup Index は、ベンチャー キャピタリストのトレンドの変化を調査しています。その調査結果によると、投資家が資料を検討する時間はわずか 3 分です。そこで成功するかどうかが決まるのです。
つまり、ピッチ資料がすぐに投資家の目に留まらない時点で、すでに機会を逃している可能性があります。では、投資家は何を求めていて、プレゼンを有利に進めるにはどうしたらよいのでしょうか?
この完全ガイドで、投資家を納得させるプレゼンを行う方法、および投資家の記憶に残る投資獲得ピッチ資料を作成する方法をご紹介します。
プレゼンに投資家が求めているもの
投資家が求めているのは、ビジネス上の数字に関する、データに基づくシンプルな情報と、明確にまとめられたアイデアです。投資家が期待する主な基準は次のとおりです。
- アイデア:プレゼンにはアイデアが不可欠です。アイデアがなければ、リストに長々と書き連ねても不十分なものになるでしょう。
- USP:何か新しいものを発明したのでもない限り、投資家は他社との違いを知りたがります。
- 財務予測:DocSend の調査によると、現在求められているのは詳細なデータです。
- ビジネス プラン:資金が投入される分野に関する情報は、詳細であるほど評価されます。
- 最適なピッチ資料:わかりやすく、簡潔な内容であることが重要です。

プレゼンに備えて準備する方法
潜在的な投資家を特定する
ビジネスの種類に応じて、信頼できる投資家候補を探して準備する必要があります。
投資家を探す際に考慮する最も重要なことは、投資家のタイプです。通常は次のいずれかのタイプになります。
- ベンチャー キャピタリスト:未公開株式への投資を行う
- エンジェル投資家:通常は富裕層の個人
- 個人投資家:社内ネットワーク内の個人を含む可能性がある
P2P 投資家や、当然ですが銀行も考えられます。
現在の投資環境を評価する
投資家を決定したら、現在の投資環境を確認する必要があります。DocSend のデータにより、次のような傾向が明らかになっています。
- 投資家の選択基準は厳しくなっている
- 投資家はリスクを最小限に抑えるために成長から収益性へと着眼点を移している
- 投資家は、LGBTQ コミュニティなど、ニッチで過小評価されているグループを探している
このように、環境はこれまで以上に厳しくなっています。減少しつつある資金プールをめぐって、これまでよりも厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。
また、投資家の関心を引くのにかけられる時間も短くなっています。データによると、2022 年から 2023 年にかけて、ベンチャー キャピタリストが資金調達に結びついた資料を検討した時間は、2 分 46 秒から 2 分 20 秒にまで短くなっています。わずか数分です。
1 分 1 秒が重要となります。また、投資家の注目を維持する時間が 20 % 低下しただけで、状況が厳しくなります。
ストーリーを簡潔に伝える
投資家のタイプと投資家が何を期待しているかが理解できたところで、次は自分自身に焦点を当てます。
プレゼン中、投資家は次のような質問を次々と投げかけてくる可能性があります。
- 「このタイプの投資を選んだ理由は?」
- 「銀行に融資を頼まない理由は?」
- 「投資家として私を選んだ理由は?」
投資家の資金が必要な具体的な理由について十分な回答を用意しておく必要があります。自分の状況を把握し、プレシードまたはシードの資金調達が必要な場合は、初期段階または成長段階どちらのスタートアップなのかを認識して、質問に答えられるように準備します。
これらすべてを準備すれば、どのタイプの投資家にプレゼンする場合も有利に進めることができます。投資家の優先順位、自分のポジション、そして最終的には収益を得る方法がわかっていなければ、プレゼンを行うことはできません。
カリスマ性を磨いて自信を持つ
重要なプレゼンに備えているときに、自分自身を客観的に見られたらいいのにと考えたことはありませんか?プレゼンのリハーサルのために画面や自分自身を録画したら、Dropbox Replay を使って録画をチームと共有できます。チーム メンバーはピッチ資料を確認し、プレゼンを改善するためのフィードバックを提供できます。
投資家を納得させるプレゼン方法
プレゼンする相手がどういう人物で、なぜプレゼンするのかを理解するには、多くの作業が伴います。その点を考慮して、プレゼン方法を詳しく説明していきます。成功の確率を高めるために、次のヒントを参考にしてください。
1. エレベーター ピッチを行う
エレベーター ピッチは、プレゼンするすべての情報を要約したものです。投資家は、プレゼンの目的を 30 秒程度にまとめたロードマップを求めています。
以下の点に言及した、明確でわかりやすい、重要な情報を含むエレベーター ピッチにしてください。
- 業務内容、社内体制、創業者、およびその他の詳細
- 製品やサービスなど、会社が提供しているあらゆるもの
- 価値提案、製品またはサービスの利点
何よりも、準備が大切です。どのような状況でもエレベーター ピッチを行えるように準備をしておく必要があります。どこで潜在的な投資家にアイデアを説明する場面が訪れるかはわからないのです。
2. ストーリーを伝える
アイデアを検討するきっかけとなった願望や夢を共有してみましょう。そうすることで、投資家は応援してくれるようになり、成功した姿を見たいと考えるようになるかもしれません。
この段階で伝えるすべてのストーリーには、主張を裏付けるデータが必要です。オーディエンス セグメンテーション、財務予測、およびその他の数字に関する情報を使って、会社のストーリーを売り込むことができます。
ですから、プレゼンのストーリー スライドを計画するときは、必ず以下の点を含めてください。
- 把握している消費者の問題または市場ギャップ
- この問題の解決に会社と投資家の資金をどのように活用するか
- ビジネスを利用するオーディエンスまたは顧客基盤とその利用方法
- 他の段階ではなく現段階でビジネスに資金が必要な理由
3. 市場調査について説明する
信頼できるデータに基づいた製品の構築は、アイデアというよりも、プランが重要になります。プレゼンのこの部分では、投資家に緊迫感を持たせ、プランが実現できる状態であることを伝えます。
プレゼンを成功させるには、市場調査のスライドに次の内容を盛り込んでください。
- 競争:市場の競争の程度を示します。投資家は過度な飽和状態を嫌いますが、競合が少なすぎると、プランが実現不可能であると判断される場合があります。
- 業界の状況:プレゼンに至るまでの市場の歴史と今後の業界予測などを説明します。
- オーディエンス(ターゲット顧客):人物像や価値観、要求、ニーズはどのようなものでしょうか?
- 市場の成長の可能性:提供する商品またはサービスの需要や売上は、長期的にどの程度増加する可能性があるでしょうか?
- 市場でのリスクを回避する方法:法的リスクや規制上の課題、その他の潜在的な落とし穴をどのように回避しますか?
4. 製品またはサービスの紹介とデモを行う
投資家はこの段階で製品についておおまかに理解していますが、さらに詳しく説明しましょう。最も重要なのは、デモの種類です。投資家が、製品を目で見るか、試すか、または使用できるようにします。
デジタル サービスまたは物理的な製品のプレゼンでデモを行うには、十分な準備とテストが必要です。たとえば、アプリのプレゼンを行う場合は、プレゼン中にコア機能をスムーズにデモできるようにする必要があります。
プレゼンを行う前に、あらゆる不備を解消しておく必要があります。投資家はリアルタイムの体験を求めているため、最後の瞬間まで何度もチェックを重ねましょう。
5. 収益とビジネス モデルを説明する
プレゼンで投資家がアイデアに納得したら、すべては 1 つの要素、つまりビジネス モデルに向けられます。投資家は、プレゼンの他のどの部分よりもこのスライドに関心を持ちます。
したがって、ビジネスで収益を得る方法を示すために以下の詳細を含めてください。
- 各製品やサービスのプライス ポイント
- 料金構造(品目ごとの料金か、月または年単位のサブスクリプションか)
- サービスまたは製品クラスとその価格(企業向けのプレミアム プランなど)
- 収益目標を達成するための方法(Y を達成するために X 個の製品を販売する)
- 投資収益率の予測(金額と達成が見込まれる時期)
これは、多くの投資で決定的な段階となる可能性があります。細心の注意を払ってください。鋭い投資家であれば不自然な部分に気づき、多くの質問をしてくるでしょう。
6. ビジネス需要の掘り起こし方法を明確にする
投資家は、大きなオーディエンス需要がないプロジェクトは支援しません。
新しいビジネスと主要な指標を獲得するためのアプローチを、これらのスライドの焦点として維持する必要があります。新しいビジネス需要を掘り起こす方法について、以下の詳細を含めてください。
- 使用するマーケティング チャンネル(ソーシャル メディア、ダイレクト セールス、デジタルおよび従来の PR など)
- 成長指標(顧客獲得単価(CAC)、顧客維持率(CRR)、コンバージョン率など)
- 販売活動の詳細(会社のリードから販売までの過程)
投資家は成長の可能性を探っているため、指標と販売活動の各段階については非常に精通しています。質問に備えて準備し、指標を徹底的に把握しましょう。
7. チームを紹介する
アイデア、市場の状態、財務に加えて、投資家は自分の資金を安心して預けられるか知りたいと考えています。投資家に能力を信頼してもらうために、チームの実績を売り込む必要があります。
DocSend のデータによると、チームを初期の段階で紹介すると、シードおよびプレシードのピッチ資料がより評価されることが明らかになっています。チームに関するスライドが終盤にあると、評価が下がるという事実は、投資家にとってチームがいかに重要であるかを物語っています。プレゼンを成功させるために、チームのスライドを資料の最初に移動しましょう。
プレゼンの成功率を高めるには、次の点に注意してください。
- チームのスキル、経験、資格を評価する
- 現在抱えている問題点を否定せず、それらの問題点にどのように向き合っているかを説明する
- ピッチ資料の中で、チームの次のステップ、野心、改善点を図表にする
8. 財務予測を説明する
今後 3 〜 5 年間の収益目標を予測する必要があります。収益を製品ごとに分類して、これらの収益がどのような方法で、いつ達成されるのか慎重に説明します。
収益予測スライドは簡潔にすべきです。数字にとらわれすぎないようにしてください。シンプルにしましょう。
9. 資金調達のニーズを正当化する
すべての投資家は、アイデアに必要な資金である場合、できるだけ提供する資金のレベルを下げたいと考えます。求めている資金が必要な理由を投資家に理解してもらう必要があります。
求めている資金を正当化し、取引を成立させるためには、以下の内容を盛り込んでください。
- 現在の資金調達レベル。現時点で獲得している金額と、その調達先
- 所有権のレベル。投資家が得られる利益と、現在の株式分配
- 目標を達成するために必要な追加の投資額
- 資金の行先と用途
- 資金がなくなった後のビジネスの位置付け
これは、プレゼンの中で、投資家の資金をいかに賢明かつ信頼できる方法で利用するかを全員に伝えるのに良いポイントです。その場にいる全員に、これから提供してもらう資金について納得してもらいます。
10. 出口戦略を説明する
シード段階から資金調達が進んでいく中で、投資家がビジネスに対する出口戦略を知りたがっていることに気づくこともあるでしょう。大企業から買収されるかもしれませんし、経営陣が株式を買うことを望むかもしれません。あるいは、上場する可能性もあります。
どのような出口戦略であっても、その戦略が会社にとって理にかなっている理由と、投資に対して何をもたらすのかを投資家に説明します。投資家が出口戦略を気にしない場合もあるかもしれませんが、5 ~ 10 年でどのようにしてお金を取り戻すかは知りたいと考えるはずです。
投資家にプレゼンするときによくある間違い
プレゼンを成功させるためにやるべきことについてのポジティブなリストを提供したいと考えていますが、避けるべき点もいくつかあります。次のような資金調達のプレゼンでよくやりがちな間違いを行わないようにしてください。
- オーディエンスや顧客を理解していない
- 市場の状況を調べていない
- 持っているデータや情報源に透明性がない
- 会議中に質問の時間を十分にとっていない
- 会議の後にプレゼンに参加した人をフォローアップしない
- 投資家のフィードバックに耳を傾けない、または失敗したプレゼンの後に資料を改善しない
プレゼンでは次から次へと売り込みが行われ、それに応じた反応や「ノー」という言葉が飛び交います。各段階を最終ステップだと思って、本番のプレゼンと同じ心構えで準備しましょう。
Dropbox を使って投資獲得プレゼンを成功させよう
Dropbox を使えば、ピッチ資料の共有、共同作業、作成を簡単に行うことができます。プレゼンの結果、必要な投資を獲得できた場合は、DocSend を使えば、ファイルをすばやく、簡単かつ安全に送信できます。
Dropbox Replay を使って、プレゼンの練習やピッチ資料そのものに対する同僚からのフィードバックを集めてみましょう。また、Dropbox Sign を使えば、法的拘束力のある電子署名を取得できるため、プレゼンの準備や、契約書の送信など、あらゆる段階で Dropbox のツールを利用できます。

Dropbox の実践的なガイドに従うと、プレゼンの成功確率が最大限に高まります。強力なピッチ資料と Dropbox の優れた製品を組み合わせて、資金調達の成功に向け準備を行いましょう。