PDF(Portable Document Format)は、Adobe 社の共同創業者であるジョン・ワーノック氏とチャールズ・ゲシキ氏によって考案されました。普遍性のある形式として設計されているため、Mac のユーザーがドキュメントを Windows のユーザーと共有できます(この逆方向の共有もできます)。ファイルの表示のされ方は、どちらのデバイスでも変わりません。
時を経て、現在の PDF 形式にはあらゆる種類の機能が盛り込まれています。パスワード保護、電子署名、メディア埋め込み、インタラクティブなフォーム フィールドなどを利用できる PDF は、現在、多くのワークフロー、プロジェクト、ビジネスの基盤となっています。
今日、PDF は非常に一般的なものになっています。テキスト ベース、HTML ベース、動画ベースでないウェブ コンテンツは、安全性のためにほぼすべてが PDF として保持されているほどです。汎用性に優れたファイル形式であり、求人応募書類や履歴書から、ホワイト ペーパーや電子書籍に至るまで、あらゆる用途に利用できます。
とはいえ、問題が一切ないわけではありません。新しい機能が次々と追加されているため、PDF を編集できない場合や、アクセスすらできない場合があります。

PDF ファイルを編集できない一般的な原因
PDF ファイルは作成と共有が容易な一方で、他の人から受け取った PDF を編集しようとすると、問題に突き当たるケースがあります。至急署名しなければならない契約書など、時間に制約のあるドキュメントを編集しようとしている場合、この点は特にストレスの種になりかねません。
PDF は場合によっては編集することが難しく、その原因はいくつも考えられます。ここでは、よく見受けられる問題をいくつか見ていきましょう。
- 管理者権限がない:PDF を作成したユーザーが、他のユーザーによる編集の機能を有効にしなかった。
- ファイルが保護されている:PDF ドキュメントがパスワードで保護され、暗号化されている。
- PDF リーダーに編集機能がない:ファイルを編集する機能がなく、プレビューのみ可能な PDF リーダーを使っている。
- 不適切なプログラムを使って PDF が作成されている:PDF の作成に使われたプログラムが古いか、無効なものであるため、ファイルの編集が困難。
- PDF エディタが使いにくい:使っている編集ソフトウェアが複雑すぎる。
PDF ファイルの管理者権限がない場合の対処法
Adobe 製品で作成される PDF ファイルには、権限の設定が適用されます。これは、ファイルの当初の作成者によって割り当てられた役割である、ファイル管理者が設定します。
権限の設定には「読み取り専用」、「編集」、「パスワード保護」があります。PDF のプレビューしかできない場合は、権限レベルが「読み取り専用」、つまり閲覧専用に設定されているために、ファイルが編集不可となっている可能性があります。
この設定を迂回する方法の 1 つは、Adobe Acrobat から Microsoft Word などの別のアプリに PDF をエクスポートした後、[名前を付けて保存]機能を使って、ファイルを PDF として保存し直すことです。ただし、この方法は、機密情報や部外秘の情報が含まれているドキュメントにはおすすめしません。
もう一つの方法として、編集機能のある PDF リーダーを使ったほうが能率的なこともあります。Adobe Acrobat Reader アプリのモバイル版とデスクトップ版では、PDF への署名と注釈の挿入ができます。より多くの編集機能を利用するには、必要に応じて Acrobat Reader Pro の有料加入プランにアップグレードしてください。
PDF ファイルが保護されている場合の対処法
PDF の作成者であるか管理者権限を持っている場合は、パスワード保護が不要になった時点で、このセキュリティ機能を簡単に解除できます。Adobe Acrobat で、[ツール] > [保護] > [暗号化] > [セキュリティを削除]に移動します。パスワードをテキスト ボックスに入力し、[OK]をクリックします。
管理者権限がなく、プレビュー モードになっていて PDF を編集できない場合、セキュリティ保護の解除は難しくなります。
PDF のテキストを編集したり、ページを並べ替えたりするだけで済む場合に、ファイルの編集モードに入ることすらできないのでは、ストレスがたまります。
Adobe Acrobat で PDF のロックを解除して編集可能な状態にするには、ファイルの所有者であるか、パスワードを知っている必要があります。パスワードを忘れた場合、Acrobat でパスワードを復元する手段はありません。
PDF の所有者がパスワードを忘れた場合、Adobe 社が推奨しているのは次の回避策です。
1. Adobe Acrobat DC で PDF ファイルを開きます。
2. [ファイル] > [印刷]に移動します。
3. ダイアログ ボックスで[Adobe PDF]をプリンターとして選択し、[印刷]を選択します。
4. ファイルに名前を付けて、[保存]を選択します。
- これで、Acrobat DC で開くことのできる PDF が作成されます。
実際には、PDF の物理的なコピーが「印刷」されるのではなく、パスワード保護のない新しいバージョンのドキュメントが作成されます。
注:この方法で作成した新しいバージョンからは、ハイパーリンク、ブックマーク、ボタンなどのインタラクティブな要素が削除されます。
PDF エディタが使いにくい場合の対処法
この問題をシンプルに解決するには、編集サービスを提供している業者にサポートを依頼するか、別の PDF エディタを選択するという 2 つの手段があります。
Adobe Acrobat DC などの PDF エディタは、テキストの追加と削除、ドキュメントのレイアウトや書式の変更といった編集および操作を PDF に対して行えるプログラムです。
Dropbox を使用すると、サードパーティのソフトウェアや技術的な知識を必要とせず、PDF を 1 か所で簡単にアップロード、編集、共有できます。
新しいアプリをインストールしなくても、クラウド ストレージから直接、すばやく安全に PDF を編集できます。また、Dropbox を使用すると、Word でも PowerPoint でも、さまざまな種類のファイルを数秒で簡単に PDF に変換できます。
署名済みの PDF を編集できない場合の対処法
もう一つの一般的な問題として、署名済み PDF を編集できないというものがあります。これは通常、Dropbox Sign などの電子署名ツールで PDF に署名すると、そのファイルは他のユーザーにとって読み取り専用になることが原因です。
他のユーザーに PDF フォームへの電子署名を依頼し(契約書や作業指示書など)、署名後のファイルを受け取ると、そのファイルは編集不可になっていることがあります。署名者が、署名後に PDF を手動でロックして、どのユーザーに対しても読み取り専用の状態にしている可能性があります。
この PDF を編集するには、未署名のバージョンまで戻る必要があります。当該のファイル バージョンに変更を加えた後、再度署名してもらうために送信します。
このような形であるため、署名されたドキュメントの内容に当事者全員が合意していて、見落とされるような追加または変更が以後に生じていないことを、ドキュメントに関与した全員が確信できるのです。
Adobe Acrobat で PDF を編集できない原因とは
PDF は Adobe 社の共同創業者によって 1990 年代に考案された形式です。表示だけでなく編集についても、最もよく利用されているソフトウェアが Adobe Acrobat であることはほぼ間違いありません。
その一方で、状況によっては、Acrobat を使っても PDF を編集できないことがあります。PDF の作成と編集では Adobe 社のソフトウェアが主流となっているため、パスワード保護付きのファイルがロックされていて操作できないといった多くの問題は、Acrobat をはじめとする Adobe 製のツールでしか解決できません。
デスクトップに保存されている PDF を Acrobat DC で編集できない場合、以下の原因が考えられます。
- ソフトウェアが古くなっている
- パソコン上で、Acrobat がデフォルトの PDF 所有者になっていない
- この場合、ファイルを Acrobat DC ではなく Acrobat Reader DC で開こうとしている可能性があります。
- この設定を変更するには、PDF ファイルのサムネイルを右クリックして[プロパティ]に移動し、[プログラム]の横にある[変更]をクリックします。リストから[Adobe Acrobat DC]を選択し、[OK]をクリックして、ダイアログ ボックスに戻ったらもう一度[OK]をクリックします。
Dropbox アカウントに保存されている PDF ファイルは編集できる?
はい、Dropbox を使用すると、さまざまなデバイスで PDF ファイルを編集できます。
dropbox.com で Dropbox アカウント内のファイルのプレビューを表示しているとき、次の操作を行えます。
- テキストを追加、編集、削除、ハイライト表示する
- 手書きメモと注釈を追加する
- フォーム フィールドをドラッグ & ドロップする
- 自分の署名を追加する、または他の人に PDF を送信して署名を依頼する
- ページの追加、削除、並べ替え、回転により PDF のレイアウトを変更する
編集した PDF を新しいファイルとしてアカウントに保存することも、編集した PDF に元のバージョンを置き換えることも可能です。

Dropbox では、モバイル デバイスを使って紙のドキュメントをスキャンし、Dropbox アカウントに PDF として保存できます。Dropbox モバイルアプリを使って、Dropbox アカウントに保存されている画像を PDF スキャンに変換することも可能です。
外出先で PDF を編集したい場合は、モバイル アプリを使用すると、iPhone または Android から PDF を編集できます。PDF にテキストや署名を追加すると、変更内容が Dropbox アカウントに保存されます。

手順を一通り試しても PDF の編集に関する問題が解決しない場合は、Dropbox コミュニティのメンバーに相談できます。同じ問題を経験したことがあって、効果的な解決策を見つけ出した他のユーザーが見つかる場合もあります。
Dropbox でドキュメントを PDF としてスキャンし、シームレスに編集する
署名の必要なドキュメントから共同制作の動画プロジェクトに至るまで、Dropbox は、すべてのコンテンツを扱えるスペースです。
Dropbox アカウントは、ファイルとフォルダを置いておくだけの単なるクラウド ストレージではありません。いつでも整理、編集、共有、コラボレーションが可能な専用スペースを確保できるというメリットもあります。
iOS 版と Android 版の Dropbox アプリを使うと、ドキュメントをスキャンし、Dropbox アカウントに PDF として保存できます。dropbox.com では、デスクトップから PDF ファイルにアクセスして、すぐに編集を開始できます。この機会に生産性をレベルアップさせましょう。