オンライン アクティビティが常にさまざまな脅威やプライバシーの懸念にさらされているこのデジタル時代には、インターネット セキュリティを制御することが重要です。そこで登場するのが仮想プライベート ネットワーク(VPN)です。VPN は安全性とセキュリティを確保しつつウェブにアクセスするための強力なツールです。
VPN の意味と定義
VPN(仮想プライベート ネットワーク)は、インターネットなどの安全性の低いネットワーク上で、暗号化された安全な接続を構築する方法です。この技術により、リモート ユーザーはプライベート ネットワークに安全にアクセスできます。VPN はリモートのチームを持つ企業で一般的なソリューションとなっていますが、共同作業とセキュリティの面で最適な選択肢なのでしょうか。
広大な公共のインターネット上にプライベートなトンネルを作成することを想像してみてください。この安全な通路によって、データを覗き見されないよう守り、オンライン アクティビティの機密性を確保します。仮想プライベート ネットワーク(VPN)は、このようなデジタルの聖域を作り、情報を不正アクセスや悪用から保護します。
VPN でできること
VPN は、インターネットを使って在宅勤務をする人や、作業場所を慌ただしく移動する人にとって、次のような数多くのメリットがあると言われています。
リモート アクセスが可能になる
VPN を使用すると、特定のデバイスによるプライベート リモート ネットワークを作ることができます。これはリモート ワーカーに最適で、海外など距離が離れた場所にいても、安全に接続を維持することができます。
セキュリティの強化
カフェや駅などでよく見られる公衆 Wi-Fi ネットワークにはセキュリティ上のリスクがありますが、VPN は、暗号化された安全な接続を構築することでデータを保護します。これにより、公衆 Wi-Fi を使用する場合でも、ウェブサイトの閲覧、メールの送受信、オンライン バンキングなどのオンライン アクティビティが、傍受から保護されます。AES(Advanced Encryption Standard)などの高度な暗号化方式により、権限のない個人はデータを読み取ることができません。
位置情報によるブロックや地域制限を回避する
VPN では自分の居場所を明かさず、特定地域のサーバーを選択できるので、どこからでもコンテンツを見ることができます。たとえば、中国にいて、ソーシャル メディアのアカウントにアクセスしようとすると、そうしたサイトの多くがブロックされていることに気づくでしょう。しかし、米国に割り当てられた IP アドレスが提供されるように VPN を設定すれば、米国にいるかのようにインターネットに接続できます。
スロットリングを回避する
すべての VPN やインターネット サービス プロバイダ(ISP)に当てはまるわけではありませんが、VPN サービスがネットワーク トラフィックの制限を回避するのに役立つ場合もあります。たとえば、データ使用量の上限を超えると ISP がデータのスロットリングを始める場合、VPN を使えばアクティビティの一部を隠すことができるので、制限がかかるまでの時間を引き延ばすことができます。とは言え、一般的に VPN を使用すると、VPN サーバーを介して接続を再ルーティングするという余分なステップがあるので、ブロードバンド接続の速度が低下する場合があります。ただし、これは通常、ビジネス環境というより家庭用ブロードバンドの問題です。
IP アドレスとは
インターネット プロトコル(IP)アドレスは、インターネットに接続する際にデバイスの識別に使用される数字の組み合わせです。IP アドレスは身分証明の役割を果たし、ユーザーの所在地特定にも使用されます。この役割がユーザーの利益になる場合もあります。たとえば、中小企業がウェブサイトや所在地の情報を地域の顧客に明示する必要がある場合などです。VPN 接続の中には、IP アドレスを維持できるものもあります。
IP アドレスの秘匿が VPN の目的となる主な理由は、IP アドレスによって所在地が知られてしまうことがあるからです。たとえば、IP アドレスがハッカーの手に渡ると、ユーザーがオンラインで新たに行ったアクティビティがハッカーに知られ、アカウントにハッキングされる可能性があります。ハッカーだけではありません。ソーシャル メディア チャネルに表示される広告が、自分が探しているものと一致しているように見えるのはなぜだろうと思ったことはありませんか?それは、ISP がインターネットでのユーザー アクティビティに関する情報を販売しているからです。VPN では IP アドレスが隠されるので、このような現象も防ぐことができます。
VPN の利点:VPN が選ばれる理由

職場環境で VPN を利用する主な理由の 1 つは、「リモート チームを安全に接続するため」です。セキュリティを向上し、アクセス性を高めることで、チームはより効率的に作業を行うことができます。
- オンライン アクティビティの保護:VPN を利用すれば、ファイルを共有するときもデータの安全性を確信できます。
- プライバシー保護:VPN は、IP アドレスをマスクすることでオンライン上の身元を保護し、ISP による閲覧習慣の追跡を防ぎます。
- クライアントの信頼:クライアントは、ドキュメントを渡す前に、VPN や同様のセキュアなサービスの導入を依頼してくるかもしれません。
- リモート ネットワーク:VPN を使用して、社内ネットワークを社外に拡張できます。これにより、さまざまな場所からチーム メンバーが安全に共同作業できるようになり、生産性と柔軟性が向上します。
- コンテンツ ブロックの回避:VPN を利用すると、特定の地域で制限されているコンテンツのブロックを回避し、世界中の情報やサービスにアクセスできるようになります。
VPN の仕組みについての詳細ガイド
1. VPN への安全な接続を開始して確立する
VPN クライアントまたはアプリケーションを使用して VPN アクセスを取得できます。この接続は「VPN トンネル」と呼ばれます。
2. インターネット トラフィックを暗号化する
すべてのインターネット トラフィックは暗号化され、VPN トンネルを介して送信されます。この暗号化により、データのプライバシーと安全性が確保されます。
3. VPN サーバーがトラフィックを処理する
VPN サーバーは、デバイスから暗号化されたトラフィックを受信し、復号化して、目的の宛先(ウェブサイトやオンライン サービスなど)に送信します。これにより、公衆 Wi-Fi ネットワークを使用している場合でも、オンライン アクティビティのプライバシーと安全性が確保されます。
VPN を使用すると、オンラインのプライバシーとセキュリティを効果的に保護できます。まず、インターネット トラフィックを暗号化し、不正アクセスや盗聴を防止します。さらに、世界中のどこからでもウェブサイトやサービスに安全にアクセスできるようになります。
VPN の設定方法
VPN の設定は比較的簡単で、通常は次のように数ステップで完了します。
- 信頼できる VPN サービス プロバイダを選択し、そのサービスに加入します
- VPN ソフトウェアまたはアプリをデバイスにダウンロードし、インストールします
- VPN アプリを起動し、ログイン資格情報を入力します
- VPN サーバーを選択し、接続します
接続すると、インターネット トラフィックは暗号化され、VPN サーバーを経由してルーティングされるため、オンラインのプライバシーとセキュリティが強化されます。
VPN の安全性

プライバシーとセキュリティが大変重視されるなか、VPN はインターネット ハッカーに対するバーチャルな防弾ベストであると考えたくなります。残念ながら、これは事実ではありません。VPN は安全性に優れ、ユーザーはセキュリティ上の脅威を気にすることなく、安全にネットワークに接続できます。しかし、VPN 自体がハッキングを受けないわけではありません。さらに、ISP による監視を防ぐために VPN を使用しても、絶対安心というわけではありません。ログを一切残さないと主張していても、一部の VPN はユーザーのアクティビティを記録していることが多くの事例で示されています。
記録される範囲は VPN プロバイダ自体の所在地によって変わります。プロバイダが準拠すべきルールが異なるからです。たとえばヨーロッパでは、一般データ保護規則(GDPR)により、このようなことが起こらないようになっています。それでも、VPN がオンライン セキュリティのための絶対確実なオプションであると思い込んではいけません。
VPN を使用する場合の重要な検討事項
仕事用のパソコンやチーム全体への VPN サービスの導入を検討する際には、次の点を考慮してください。
VPN の場所
使用したい場所で VPN を利用できるかどうかは、プロバイダの場所に基づきます。たとえば、米国内ではブロックされているサイトにアクセスしたい場合は、そのサイトが利用できる国を拠点とするサーバーが必要になります。使用する VPN のサーバーがどこにあるかを確認してください。さらに、VPN はユーザーがいる国ではなく、運用されている国のルールに従うことになります(以下に詳しく説明します)。
VPN のタイプ
VPN には、拡張アドオンのようなシンプルなものから、企業全体を網羅する VPN ネットワークのような大規模なものまであります。仕事で使うコラボレーション ツールを改善したいのなら、企業向けのオプションに目を向ける必要があるでしょう。
VPN のコスト
VPN が複雑になれば、それだけコストは高くなります。企業の VPN サービスではカスタム メイドの IT ソリューションが求められますが、それは相当な投資になる可能性があります。
VPN のオペレーティング システム
ご利用の OS に対応する VPN サービスを選択する必要があります。たとえば、Linux では Microsoft Windows とは異なる VPN クライアントが必要になる場合があります。
デバイス
スマートフォンやタブレットなどのモバイル デバイスで VPN を使用する場合は、ノート パソコン用とは異なる VPN が必要になることがあります。
ビジネスで VPN を使用する必要性
VPN を使用するメリットは数多くありますが、それが有用なツールになるか、それとも不要な出費になるかは、ネットワークに関する本当のニーズを見極めることにかかっています。ネットワーク レベルでのデータ保護に関しては、VPN プロトコルにはなかなか勝てませんが、適切なマルウェア対策ソフトウェアで構成された優れたセキュリティ フレームワークは、デバイスを強力に保護することができます。企業の VPN は構築とオンボーディングに時間がかかります。また、運用を維持するにはメンテナンスと専任の IT 専門家が必要です。シンプルなリモート ワークとファイル共有を考えれば、Dropbox のほうが優れたオプションです。
VPN のデメリット
VPN には多くのメリットがありますが、そのメリットによる効果の多くは別の手段でも実現できます。たとえばテレワークでは、セットアップやメンテナンスの手間が少なく、費用がそれほどかからない他のソフトウェアやサービスを利用することもできます。
VPN を導入する前に、そのデメリットについても考慮しておきましょう。
- 特に企業でのセットアップではコストがかかる場合がある
- ビジネスで利用するにはメンテナンスが必要
- リモート ネットワークは IT の専門家が初期設定する必要がある(Dropbox は簡単な登録だけで OK)
- 見かけほど安全とは限らない
- インターネットの速度が大幅に遅くなる可能性がある
- 一部の国では VPN が法的なグレー ゾーンまたは違法とされている
一部のブランドでは、VPN を使用しているユーザーをブロックする取り組みが行われています。そのため、企業のアカウントの信頼性を損なう可能性があるかもしれません。
結局のところ、VPN で実際に何が実現したいのかを考えるべきでしょう。Dropbox のようなツールを使って、同じように効率的に共同作業ができますか?オンライン プロキシ サーバーを使って、同じように自由にネット サーフィンができますか?最新のマルウェア対策プログラムやファイアウォール プログラムを使って、高いセキュリティ レベルを維持することができますか?いずれかの問いの答えが「はい」ならば、VPN は必要以上に複雑なソリューションかもしれません。
VPN はオンラインのプライバシーとセキュリティの強化に広く使われている効果的なソリューションですが、異なる機能や利点のある代替ソリューションがいくつかあります。代替ソリューションはそれぞれ独自の特徴があり、特定のニーズや要件において優れている場合があります。
Dropbox は VPN の代替ソリューションとしてリモート アクセスを簡素化
VPN を使用する主な理由が、「チームがリモートで接続すること」であれば、もっと良い選択肢があります。VPN にはさまざまな分野でメリットがありますが、リモート ワークに関して言えば、企業の VPN を導入するのに必要なコストと時間は大変なものになります。技術に詳しいユーザーでも、VPN を介してファイル サーバーに接続するための面倒な手順にイライラするでしょう。Dropbox は、ログインするだけでファイルのセキュリティが守られ、リモート アクセスが可能になるので、シンプルで効果的な VPN の代替ソリューションとして、こうしたニーズに応えることができます。
オンライン セキュリティを強化し、チームのリモート環境での共同作業を改善しませんか?VPN ソリューションや、Dropbox を使用して安全なリモート アクセスを簡単に実現する方法をご確認ください。今日からインターネット セキュリティを管理し、チームの生産性と安全性を確保しましょう。今すぐ Dropbox の利用を開始して、従来の VPN に代わるシームレスなソリューションを体験してください。
