チームを率いるマネージャーにとって、働く場所の変化に対応し続けるのは決して簡単なことではありません。
リモート ワークやハイブリッド ワークが一般化した今、ビジネス リーダーは失敗が許されなくなってきました。特に社員に最適な職場環境を構築することに関して、リーダーへの責任は大きくなっています。
フレキシブルな働き方:小規模企業が成功を収めるための秘訣とは
小規模企業がリモート ワークを競争上の強みとして活用し、将来の成功へとつなげるには、どうすればよいでしょうか。Dropbox は答えを探るべく、小規模企業のリーダーと社員 2,000 人以上を対象に 8 か国で調査を行い、結果を「チョイス エコノミー レポート」としてまとめました。
調査の狙いは、フレキシブルな働き方を導入してきた結果、働き方、働く場所、働く時間に関する社員の考え方にどのような変化が生じたかを見ることです。調査の結果、回答した企業の 3 分の 2 近くが、ビジネスの構造、ツール、手法について明確にわかる大幅な改善を加えることで、パンデミック中もコラボレーションを実現できたことがわかりました。結局のところ、その数年間は誰もが在宅を強いられていたので、必要不可欠なことだったのです。しかし、それは始まりに過ぎませんでした。
最新テクノロジーによって、チームがリモートでも仕事をこなせることは証明されましたが、オフィスで働くメンバーと在宅で働くメンバーが混在する場合でも、柔軟性をそのまま維持するにはどうすればよいでしょうか。
結論を先に言うと、今後の数年を生き抜く企業になるためには、世界のどこにいても高いパフォーマンスを発揮できるチームを作ることが一番の優先事項ということになります。そこで、先ほどの調査を基に、リモート ワークの先達たちの意見から、フレキシブルな働き方を導入する方法を探ってみましょう。
「フレキシブルな働き方」とは
フレキシブルな働き方は、従来の 9 時から 5 時までのオフィス勤務に代わるものです。社員が働く時間、働く場所、働き方を自由に選択できます。パートタイム、リモートまたはハイブリッド ワーク、労働時間の短縮、ジョブ シェアリング、あるいはまったく異なる働き方など、さまざまな形が考えられます。
たとえば、スケジュールをフレキシブルにすることで、社員の 1 人が育児ニーズに合わせて始業時間と終業時間を柔軟に選択して働けるようになる場合があります。
基本的に、フレキシブルな働き方とは、社員が自分の都合に合わせて勤務スケジュールや職場環境を選択できるようになることです。これにより、仕事の満足度、エンゲージメント、モチベーション、ワークライフ バランスなどにおいて、企業も社員も大きなメリットを得られる可能性があります。
チームのフレキシブルな働き方を成功させるには
1. 社員の要望を聞く
長期的にフレキシブルな働き方を導入する場合、まず第一にチームが本当に望んでいることを理解する必要があります。それは、ソリューションや働き方を一律にするのではなく、「選択肢」を与えることを意味します。
実は社員は、その時々に応じて最適な環境を選ぶことがとても上手です。
「集中したいときは自宅で、ブレインストーミングやコラボレーションに参加するときはオフィスで、といった具合に、社員は自分で自由に考えて決めることができます。こうした選択の自由を与えることは、結果として生産性の向上につながります」と語るのは、Global Workplace Analytics の社長、ケイト・リスター氏です。
つまり、社員に代わって性急に判断を下すのではなく、本当は何が望みかを尋ね、意外な返事が返ってきても、それに応えようとするのが正解だということです。
「先日社員を対象にしたアンケート調査で、『在宅勤務からオフィス勤務に戻ったとき、ミーティングの相手が同じ敷地内の同じ建物にいたら、バーチャル ミーティングと直接会ってのミーティングのどちらを希望しますか?』と尋ねました。すると、相手が同じ建物にいたとしても、すべてバーチャル ミーティングにしたいとの回答が約 7 割を占めました」
ケイト・リスター氏Global Workplace Analytics 代表
2. 離れていても、文化の構築を忘れない
パンデミック後、多くの社員が享受していた企業文化を取り戻す、新たな機会が訪れています。しかし、普段在宅勤務をしている人が多くいることを考えると、この文化が完全にオフィス ベースにならないよう気を付けなければなりません。難しく考える必要はありませんが、少し計画的に行うことが必要です。考えてみれば、仕事帰りに偶然居合わせた人同士でコーヒーやお酒を飲みに行っていたときも、誰もが自由に、気軽に参加できていたわけではありません。
では、代わりにどうすればよいでしょうか。
文化を正しくカタチにすることは、手の込んだ最新ツールに多額を投じることではありません。誰にとっても身近となったビデオ通話を、さまざまな方法で、仕事以外にも使えることを思い出しましょう。ハイブリッド会議によって、オフィスに勤務する社員とリモート ワークの社員が電話会議を通じてコラボレーションできます。リモート ワーカーに、業務時間中に同僚や仕事仲間とビデオ通話して情報を共有する時間をとるよう奨励すれば、コーヒー ブレイクの文化を存続させることができます。
とは言え、単にビールやコーヒーを一緒に飲むことだけが文化なわけではありません。より個人的な文化的要素に楽しみを組み合わせる必要があります。これを方向付けるのが上層部だと、アンドレアッタ氏は言います。「管理職は、企業文化を 90 % の社員が経験できるものにしなければなりません。ところが、管理者層のトレーニングに本気で投資したことのない企業が、いまだに多く見られます。」
管理職のトレーニングが重要なのは、つまるところ文化の多くは、助けを求める、休みを取る、抱えている問題について話し合うといった基本的なことが簡単に、正しく行えるかどうかに他ならないからです。柔軟な働き方で成功したいのなら、基本と楽しみというコインの両面を正しく提供できる企業にならなければなりません。
3. 適切なコラボレーション ツールを共有する

コミュニケーションとコラボレーションは、あらゆるプロジェクト、ワークフロー、ビジネスの基本です。どちらか一方だけでは、すべてがダメになってしまいます。
このことは、次のような調査結果で裏付けられています。
- 調査に参加した企業の 3 分の 1 以上(36 %)が、適切なコラボレーション ツールを使わなかったことがリモート ワークの大きな妨げになったと回答しています。
- 48 % の企業が、コラボレーションの失敗が社員の生産性に悪影響を及ぼしたと回答しています。
- また、チームのコラボレーションを円滑にすることが組織の将来にとって重要だと答えた企業は、87 % に上ります。
企業にとって、これらの問題を解決するプラットフォームを見つけることが急務なのは明らかです。チームによる共同作業を容易にし、以前から使っているツールを組み込むことができ、プロジェクト管理をシンプルにする効果的なプラットフォームが必要です。
これは、表面に手を加えればよいということではありません。働き方のプロセスを、長期にわたって大幅に変化させるテクノロジーを導入し、そのメリットを最大限に活かす必要があるということです。
アンドレアッタ氏は次のように語っています。「ミーティングでは多くの情報が共有されますが、これは非同期ツールでできることです。仕事自体も、その評価や取り組み方も、仕事をする場所についても再定義するときが来ていると思います。」
ブリット・アンドレアッタ氏Ph.D.、7th Mind Inc. 最高経営責任者(CEO)4. 一にも二にもイノベーション
最後になりましたが、重要なのは、イノベーションを一度きりのプロセスと捉えないことです。柔軟な仕事環境を作るために何をするにしても、改善の手を止めてはなりません。
方法は簡単です。定期的にフィードバックを集めるのはもちろん、ビジネス プロセスを継続的に監査し、不明な点があるときは外部の専門家に監査を依頼するのです。新しいテクノロジーに投資する場合は、サプライヤーと協力して投資効果を最大限に高め、部門の枠を超えたチームを立ち上げて、テクノロジーの導入状況と組織全体への浸透状況を監視します。
最後に、イノベーションを実現するための取り組みでは、すべての段階に「関係者全員」が必ず関わるようにします。ビジネス変革の推進で重要な役目を担うのがシニア リーダーですが、社員全員の間にイノベーションが浸透するようにするのも、シニア リーダーの大切な役目です。新しいツールやプロセスの価値を社員が理解できずにいたり、どのようなときに、どのように使うかを社員に説明していなかったりすると、ツールやプロセスはおそらく見向きもされず、フレキシブルな働き方戦略が成功することはないでしょう。