販売の技術:デジタル アートをオンラインで販売できるプラットフォームとその方法
デジタル アートによって、アーティスト、デザイナー、イラストレーターには刺激的な機会が開かれていますが、それを持続可能な収入源に変えることはできるのでしょうか?このガイドでは、ソロプレナー、フリーランスのデザイナー、デジタル クリエイターの方々に向けて、デジタル アートをオンラインで販売するための最適な方法を、プラットフォーム、価格設定の戦略、ビジネス運営のヒントと共にご紹介します。
このガイドでは、デジタル アートをオンラインで販売するための最適な方法を、プラットフォーム、価格設定の戦略、ビジネス運営のヒントと共にご紹介します。まずはその前に、デジタル アートが「従来」の形式のアートとどのように異なるのかを確認しましょう。
デジタル アートに伴う課題:どのように克服するか
デジタル アートであれ、現物のアートであれ、アートの世界は非常に競争が激しいことは、ご存じのとおりです。確かに、アートのオンライン販売はお金を稼ぐ素晴らしい手段ですが、業界に参入する人が増えているため、自分の作品を他の多くの作品より目立たせる必要があります。
オークションで販売される高価な手描きのアート作品や限定品のグラフィック デザイン プリントを作成する場合、当然のことながら作品の現物を販売します。購入者は、作品を自宅に持ち帰り、自分のものとして楽しむことができます。
デジタル アートの場合、購入者は作品を購入するとすぐに技術上の引き渡しを受け、好きなように再利用できます。
ここで、次の問いについて考えてみましょう。
どうすれば購入者に価値のあるデジタル アートを提供できるか?
この目標を達成するには、いくつかの方法があります。高品質で手頃な価格の作品を作成するだけでなく、次のようなアートを作成することを検討しましょう。
- 便利なアセット - ダウンロード可能なグラフィック パック、テンプレート、デザイン要素を制作
- パーソナライズされたコミッション - 個々のクライアントに合わせたカスタム イラストやユニークな作品を提供
- 限定アクセス - 数量限定のプリントや会員限定のコレクションを提供
これらのアプローチを強力なブランド アイデンティティと組み合わせると、あなたの作品に投資してくれる忠実なファン層を築くことができます。

デジタル アートで利益を得ることは可能か
はい。フリーランスやコミッションなどで能動的所得を目指す場合でも、デザイン パックやテンプレート、ストック グラフィックの販売で受動的所得を目指す場合でも、デジタル アートを収益化する方法は複数あります。
収益化の戦略として主なものは次のとおりです。
- カスタム コミッション - クライアントと直接やり取りし、パーソナライズされたアートワークを制作する
- 既製デザインの販売 - ロゴ、ベクター画像、ソーシャル メディア テンプレート、フォントなどをアップロードして販売する
- ストック アートやデザイン アセット - Twitch のエモート、UI キット、ブランド要素などを制作して販売する
- オンデマンド印刷 - T シャツ、スマホケース、ポスターなどにアートを印刷して提供する
それぞれのアプローチには利点があり、多くのデジタル アーティストは複数の収入源を組み合わせて収益を増やしています。
オンラインで一般的に販売されているデジタル アートの種類
デジタル アートとは幅広い総称であり、多岐にわたるさまざまなメディアや形式が含まれます。一般的に、デジタル アートで成功するには 2 つの方法があります。
- 隙間市場を見つける:ある程度の数のファンがいるものの、既存の作品数が限られているクリエイティブなコミュニティやムーブメント、または新たに生まれたアート カテゴリを見つけましょう。多くの場合、そういったアートのファンは特定のスキル セットや興味を持つ才能豊かなアーティストが作成したニッチなアート作品に高い金額を支払うことをいとわないでしょう。
- 象徴となるスタイルを築く:自分の作品すべてを独自のスタイルで表現し、その知名度を上げましょう。ライバルが提供できず、あなたに直接依頼しない限り入手できないものを提供します。
次のセクションでは、オンラインで販売できるデジタル アートの種類とデジタル アート販売のさまざまな手法のうち、いくつかを取り上げます。
コミッションとオリジナル作品
コミッション アートとは、アーティストがクライアントの要望に基づいてカスタム作品を制作することです。個人、企業、組織、さらには政府も、個人利用または業務目的のためにカスタムのオリジナル作品を依頼できます。
コミッションは、顧客にとってユニークで高品質な価値のある作品を制作する優れた手段です。顧客は、他では制作したり複製したりできない、商用または個人用の作品を手に入れることができます。

ロゴ、ベクター画像、デザイン要素
受動的所得を得る簡単な方法として、T シャツやスマホケース、ステッカーなどのアイテムにプリントするためのデジタル アートを制作するというものがあります。
または、フリーランスのデザイナーに軸足を移して、ブランドを対象にカスタムのアートやデザインを制作することもできます。毎日、中小企業やコンテンツ クリエイター、ソロプレナーによって、新たなビジネス チャンスが生み出されています。そしてそれぞれが、新プロジェクトのブランディングに対するサポートを必要としています。
ビジネス チャンスを生み出す側には、フルタイムのデザイン代理店に依頼する金銭的余裕や内部でブランディング キットを作成するほどの専門知識がないかもしれません。こうしたニーズに応える既製のデザインをダウンロード販売したり、カスタムのブランディング サービスを提供したりすることが、収益につながる可能性があります。
フォントとタイポグラフィのデザイン
ロゴやベクター画像と同様に、ウェブ フォントもオンライン上でのブランドの存在感に大きな影響を及ぼします。カスタム フォントを開発すると、プロのデザイナーとアマチュアの双方にリーチして利益をもたらすビジネスとなる可能性があります。
ソーシャル メディアのフィルタ
ソーシャル メディア上で画像や動画に特定のスタイルを適用できるフィルタや AR フィルタは、馴染みのある方も多いでしょう。ところで、カスタム フィルタを自分で作成して販売できることはご存じですか?
カスタム フィルタは、一度制作すればオンライン マーケットプレイスで簡単に販売できます。顧客はファイルをダウンロードして、アプリ内のフィルタ ギャラリーにインポートすることが可能です。
Twitch のエモート、アニメーション、バッジ
Twitch や YouTube などのライブ ストリーミング プラットフォームの普及に伴い、配信者の個性を際立たせるカスタムのエモート、チャンネル アイコン、アニメーションなどの需要が高まっています。こうしたプラットフォームは、視聴者に自分もストリーミング配信してみようと思わせ、スターの座を目指すきっかけとなることがよくあります。
中小企業やスタートアップ企業向けのロゴ関連の市場があるように、Twitch でもロゴを扱う大規模な市場が存在します。この中には、バッジ、チャンネル アイコン、カスタム チャット絵文字、ストリーム内のエフェクトやアニメーションが含まれます。
3D プリント モデルとデジタル彫刻
3D プリントにより、デジタル アーティストの作品販売形態が大きく変わっています。クリエイターは、3D モデルをさまざまな用途に販売できます。
可能性は無限大ですが、例として次のようなものが挙げられます。
- ゲーム キャラクターの卓上ミニチュアやフィギュア
- カスタムのボード ゲーム部品
- 彫像や他の彫刻形式の作品
- 有名な山脈や建造物の縮尺のミニチュア モデル、米国の地形図など、思いつく限りのあらゆるもの
NFT
NFT(非代替性トークン)は、近年広く注目を集めており、デジタル アートやデジタル収集品の分野で話題となっています。その目的は、従来のアートとデジタル アートが直面する最大の課題、つまり来歴と複製の課題を解決することです。
NFT では、コードの文字列とブロックチェーン テクノロジーを使用して、作品のデジタル受領フォームが作成されます。こうすることにより、いくつものコピーが存在するとしても、受領フォームに記載された人物がデジタル作品の公式な所有者であることを示せます。
スタンプやベクター画像といった他のデジタル アート作品とは異なり、通常 NFT は限定版の作品です。Opensea や Rarible など、作品の「ミント」を処理してブロックを適用できるマーケットプレイスで販売されます。このことから、NFT はデジタル収集品として固有の性質と魅力を持ちます。
当初、多くの人が一時的な流行に過ぎないと判断したものの、この意見の分かれるメディアの出現は、アートと仮想通貨の取引コミュニティを揺るがしてきました。アート業界への長期的な影響はまだはっきりしていないものの、NFT の知覚価値は否定のしようがありません。実際、NFT のグローバル市場規模は、2028 年までに 929 億 8 千万ドルに達すると見込まれています。
デジタル アートの販売に最も適したプラットフォームはどこか
販売するアートの種類に応じて、作品の販売方法と販売プラットフォームにはいくつかの選択肢があります。具体的には、オンライン マーケットプレイス、オーダーメイドの見積もり、および独自のショップ ページです。
オンライン マーケットプレイス
Etsy のようなプラットフォームが、急速に普及しています。こうしたプラットフォームには、幅広い顧客基盤という強みがありますが、過飽和状態になっていることがよくあります。競争率が高く、販売者ごとのカスタマイズは限定的です。NFT の場合、マーケットプレイスがテクノロジーとエクスペリエンスにとって不可欠な要素となります。
オーダーメイドの見積もり
高い価値を持つ作品を販売する場合、いつでも直接見積もりを処理でき、コミッションやワンオフの作品に関する連絡手段と問い合わせ手段を提供するだけで済みます。Instagram などのソーシャル メディアのプロフィールでダイレクト メッセージを利用して、こうした業務を管理できます。
独自のショップ ページ
Shopify のようなプロバイダを利用すると、サブスクリプション料金や取引手数料が必要になるため、費用が高くなる場合があります。
一方、独自のショップ ページを作成すれば、マーケットプレイスのシンプルな支払い処理や管理と、オーダーメイド性の高いソリューションの独自性やカスタマイズ性を組み合わせることができます。その結果、デジタル アート ギャラリーを運営できるようになります。

デジタル アート ビジネスを成功させるには
アートの制作を始めてショップ ページをセットアップしたら、顧客をオンライン ギャラリーに誘導して、販売につなげましょう。
作品の価格設定
アート市場関係者であれば誰でも、アート作品に値段を付けるのは難しいと言うことでしょう。デジタル アート作品の価格設定は、形のある作品の場合とは少し異なります。
たとえば、キャンバスにデザインをプリントした場合、素材、額縁、送料、人件費といった要素を考慮する必要があります。デジタル アートの場合は、作品制作に費やした時間と労力を考慮するだけで十分です。
デザイン アセットや 3D プリント モデルのような手に取ることのできる実用的なものを販売している場合、市場調査を行うことで需要を把握し、類似製品が一般的にどの程度の価格で取引されているかを知ることができます。
オーダーメイドの作品を販売している場合には、似たようなオーディエンスにリーチしているアーティストを調査して、価格を確認しましょう。最初は価格設定を低く抑えることで、初期のビジネスと評価に勢いを得られる可能性があります。ビジネスが軌道に乗ったら、需要に応じて価格を上げることを検討します。
アートのオンライン マーケティング
オーディエンスが定期的にアクセスする場所で作品を宣伝することにより、オンライン ビジネスの成功につなげることができます。Dropbox Paper のような生産性ツールを使用して To-do リストを作成すると、すべてのマーケティング活動の記録を付けるうえで役立ちます。
マーケティング活動では、ソーシャル メディアが役立ちます。仲間のアーティストとつながり、投稿を通じて潜在顧客を引き付けることができます。多くの場合、プラットフォームによってソーシャル メディア ユーザーがコンテンツを利用する方法は異なります。そのため、さまざまな形式で作品を紹介することを検討しましょう。次のような手段があります。
- TikTok 動画
- リールや通常の画像投稿、カルーセルを使用した Instagram のキュレーション アカウント
- アート アカウントに自分の作品を見つけて共有してもらうための、Twitter のハッシュタグ
- Reddit フォーラム
- Pinterest ボード
ソーシャル メディア上で知名度がある場合、自己紹介欄に「コミッション可能」と説明を加えることもできます。可能な場合には、ショップ ページのリンクも含めましょう。
ワークフローの管理
小規模なオンライン ビジネスを運営すれば、当然ながら、大量のコンテンツを制作して管理することになります。Dropbox は、予定表やマーケティング プランから請求書まで、さまざまなファイルを作成、保存、共有できる安全で一元化されたスペースを提供します。
デジタル アートを顧客に直接販売する場合は、ファイルを安全に共有する手段が必要になります。Dropbox なら、ファイルをダウンロードしてメールに添付するといった面倒な作業が不要になり、自分のアカウントから直接大容量ファイルを共有できます。
Dropbox を使えば、バージョン履歴やファイル復元などたくさんの便利な機能を利用できるため、前のバージョンにアクセスできるだけでなく、大切なファイルを失うこともありません。
最も避けたい事態は、作品を盗まれたり盗作されたりすることです。Dropbox なら、PDF に透かしを追加できるため、マーケットプレイスやショップ ページの出品リストを、許可なくダウンロードされたり使用されたりするのを防止できます。
Dropbox を使用すれば、デジタル アート販売のワークフローを効率化し、生産性を向上できるため、ファイル管理に悩まされることなく、アートの制作に集中できるようになります。

デジタル アートの取り組みを Dropbox で効率化
デジタル アート ビジネスを始めるのは難しいものですが、Dropbox を使えば、業務の管理がはるかに簡単になります。
Dropbox は、ファイルを作成、保存、共有するのに最適なソリューションです。あらゆるファイルを 1 か所にまとめて管理し、作品を保護し、簡単に顧客とファイルを共有できます。