e コマース産業が活況を呈していることはご存じのとおりです。実際、米国における e コマースの売り上げは、2022 年に 1 兆ドルを超えると予測されていましたが、この数字は今後さらに伸びていきます。
オンライン ビジネスのオーナーと起業家にとって大きなチャンスですが、競争も激化しています。e コマース ブランドを立ち上げたい場合は、調査が重要です。
このガイドでは、e コマース ストアの立ち上げプロセス全体について説明します。現状の把握から、得意分野の確認、ショップの市場参入まで、アイディアを形にし、新しいビジネスを成功に導く方法をご紹介します。
e コマースの状況を調査する
実店舗を開業する場合に立地、需要、サプライヤーなどを調査するのと同様に、e コマース ビジネスを始めるには、事前に e コマース産業について理解しておく必要があります。
e コマース ビジネスを始めるのは投資と考え、直感で動かないでください。調査の過程で、各種 e コマース ビジネス モデルを検討する必要があります。たとえば、次のモデルがあります。
- サービスベース
- ソフトウェア
- デジタル コンテンツ
- 卸売りまたは倉庫保管
- ホワイト ラベリングと機械生産
- ドロップシッピング
- サブスクリプション
- アフィリエイト マーケティング
この中で、まずは商品やサービスを見込み客に提供する方法を考えてみましょう。見込み客の開拓は自動化したいですか?商品は個別に販売しますか?それともパッケージ、あるいはサブスクリプションにしますか?現在の e コマースの状況を調査したら、その中に居場所を見つけましょう。

得意分野を確認して、商品の販売機会を見つけ出す
次の Amazon を目指すとしても、最初からあらゆるものを販売することはできません。まずはニッチ市場をターゲットにする必要があります。
得意分野を見つけるのは難しいかもしれませんが、これが e コマース ビジネスを始めるプロセスで最も重要な部分です。
急成長する e コマース産業では、競争も激化しているので、得意分野を具体的に絞るほど、うまくいくのです。競合他社が自分のビジネス アイディアと似た商品またはサービスを提供していても、まったく同じでさえなければ、商品を販売するまたとないチャンスになります。
得意分野を確認するために、次の質問に答えてみてください。
- 専門の分野は何ですか?
- 販売したい商品またはサービスについて十分な情報や知識がありますか?
- 自分の知識、経験、またはスキルセットを活かせるのはどの市場ですか?
- トレーニングまたは経験をさらに積む必要がありますか?
競合を調査する
競争が激しいニッチ市場、または大手グローバル企業の寡占市場への参入はリスクがあります。しかし、それは競争がない分野への参入も同じことです。通常、競争がないということは市場が存在せず、ポテンシャルもないということです。
競合について調べる場合は、悪い点と同じくらい良い点に注目しましょう。次の要素を分析してください。
- ビジネス モデル
- 専門としている商品またはサービスの種類
- 最も売れている商品またはサービス
- ウェブサイト
- マーケティング手法
ターゲット市場を見つける
ここまで実施してきた調査に基づいて、提供する商品またはサービスで埋めることができる市場のギャップを見極めましょう。次の SWOT 分析を検討します。
- Strengths(強み):特に得意とするものは何ですか?ビジネスに活用できる独自のリソース、スキル、または経験がありますか?
- Weaknesses(弱点):改善の余地があるのはどの分野ですか?顧客に弱点と見られている可能性があるのはどの部分ですか?
- Opportunities(機会):強みを機会に活かせますか?現在のトレンドまたは顧客の購入パターンはどうですか?
- Threats(脅威):競合他社はどのようなビジネスを展開し、その現在の業績はいかほどですか?自社の弱点によって何らかの障害が生じますか?
この分析によって、ビジネスの成功または失敗の原因となり得る内部と外部両方の要因を見極めることができます。導入を阻む障害(追加の投資や専用のソフトウェアなど)や、それらの障害の解決に利用できる回避策の検討も行う必要があります。
アイディアをブレインストーミングして、Dropbox Paper などの生産性向上ツールで進捗状況を追跡します。ソーシャル メディア、Trend Hunter、Google トレンドなど他のリソースを活用して、選択した得意分野におけるオンライン検索のトレンドをチェックできます。
その際は、ターゲット層を忘れないようにしましょう。理想的な顧客の特徴(年齢、収入、居住地など)を備えたペルソナを構築し、そうした顧客を商品またはサービスにどのように惹きつけるかを策定します。
アイディアを検証する
商品またはサービスを決めたら、アイディアを実行に移せるかを確認する必要があります。ビジネスのアイディアは、主に次の 2 つの方法で評価します。
- 市場ベースのアプローチ:提供する商品またはサービスにはどのような需要がありますか?この市場は近い将来変化しますか?不活発でしょうか、成長中でしょうか。それとも一過性のブームが到来している市場でしょうか。競合他社のビジネス形態を見て、自分たちなら別の方法で遂行できると思うものがありますか?
- 商品ベースのアプローチ:商品またはサービスの潜在的なマークアップ率と販売価格はどのくらいですか?提供する商品またはサービスは顧客の具体的な問題を解決するものですか?それとも感情的な満足をもたらすものですか?季節的購入変動が生じる可能性はありますか?
市場と自分の商品またはサービスを理解したら、e コマース ビジネスを始めるために必要なコストの詳細を把握できるようになります。たとえば、デジタル製品は物理的な製品よりも安く、いくらなら黒字になるかよりも、その製品がどれくらいの価値を提供するかに応じて価格を決定できます。これは、予算が限られたソロプレナーに適したオプションになり得ます。

ビジネス プランを練る
優れたビジネス戦略は範囲が広く、基本事項に加えて、ビジネスが目指している目標や、販売する商品など、詳しい内容が含まれます。
e コマース サイトのビジネス プランには、次の要素を含める必要があります。
- 起業のための費用
- 商品またはサービスの供給方法:自分で製作/提供、機械生産、卸売り、ドロップシッピング、デジタルで作成など
- オンライン ストアの在庫管理(関連する場合)
- 財務管理、そのビジネスで収益を得る方法
- 運用モデル
- 競合他社の分析を含む市場調査
- マーケティング戦略、新規顧客にリーチするためのプラン
- 法的事業形態
Dropbox Paper を使用して戦略を立て、最終決定し、フィードバックやコラボを行うパートナーや同僚とプランを共有します。
商号とブランディングを最終決定する
商号またはブランド名を選択し、最適な(かつ使用可能な)ドメイン名を決定することは、販売する商品またはサービスの決定と同様に難しい場合があります。オンライン ビジネスの正式名とドメイン名は正確に一致しなくても構いませんが、一貫性のある名前にする必要があります。
商号はシンプルかつ、クリエイティブで、ブランド アイデンティティを反映しているものにします。得意分野に関連する名前を付けた場合も、見込み客を惹きつける可能性があります。最終的な選択を行う前に、国務長官のウェブサイトで使用可能な名前かどうかを確認して、米国特許商標庁で検索を実行することをお勧めします。
顧客を惹きつけるロゴにするには、得意分野の既存の e コマース ブランドとあまり似ていないロゴにしましょう。お友達と協力して、好きなブランド カラー、書体、画像を選ぶことができます。予算がある場合は、フリーランスのグラフィック デザイナーまたは設計代理店に要点を伝えて依頼した方が簡単な場合があります。
ビジネスを登録し、許可やライセンスを申請する
名前を決定したら、その名前をオンライン ドメインとして登録し、個人事業主、ゼネラル パートナーシップ、LLC、または法人として登録します。これらの各形態には、法的および財務的観点からそれぞれ長所と短所があります。自分の e コマース ビジネスに適した形態がわからない場合は、法律の専門家に相談することをお勧めします。
法的な観点からは、e コマース ビジネスを開始するにあたって必要な事項がいくつかあります。具体的には、次のとおりです。
- 雇用主番号(EIN)
- 市、郡、または州からの営業許可
- 一般または地域あるいはその両方の営業許可
- 自宅で店舗を営業する場合は自宅使用許可
以下は必要になる可能性は低いものの、知っておくべき許可です。
- 特定の業種の専門職資格および営業許可証
- 売上税の許可
- 衛生、安全性、環境に関する許可
- 看板の許可
- 建物および建築の許可
これらのドキュメントや記録は、必要なときにいつでも簡単かつ安全にアクセスできるようにします。Dropbox などの安全なクラウド ストレージ ソリューションに保存して、パスワードでセキュリティをさらに強化しましょう。
e コマース プラットフォームを選択し、ショップを立ち上げる
いよいよ e コマース ショップの開設です!ビジネスの「顔」であるウェブサイトはとても重要です。
Shopify などのオールインワン サービスから Woocommerce(WordPress のプラグイン)などのオープンソース ソフトウェアまでさまざまなプラットフォームを利用できます。複数のセールス チャネルに多角化して、スペース内の既存の顧客にリーチすることもできます。eBay や Etsy などのオンライン マーケットプレイスは、ハンドメイドの作品や収集品の販売に適しています。
最適なプラットフォームは、次のようなさまざまな要因によって決まります。
- 機能、組み込みおよびカスタムの機能、設計機能、ユーザー インターフェース
- 各種決済システムとの互換性
- ビジネス形態との互換性
- ショップの運用と更新に幅広いウェブ開発やコーディング スキルが必要かどうか(また、そもそもそのスキルがあるかどうか)
- 検索エンジン最適化(SEO)機能 - 商品ページだけでなく、ブログ コンテンツにも必要
- 拡張性
顧客を惹きつける方法で市場に参入する
サイトを立ち上げたら、次はいよいよ販売の開始です。ターゲット層の調査は、顧客へのリーチ方法を理解するための強力な基盤となります。
ビジネスをオンラインで運用するメリットの 1 つは、豊富なデジタル マーケティング戦術を自由に活用できる点です。次の e コマース マーケティング チャネルを検討できます。
- ソーシャル メディアとインフルエンサー マーケティング。Dropbox アカウントに画像や動画のコンテンツを保存し、外出中でもスマートフォンからアクセスできます。
- クリック課金型広告(予算がある場合)。
- ニュースレターやキャンペーンを通じたメール マーケティング。
- 高品質のオンサイト コンテンツとアウトリーチによるコンテンツ マーケティング
- サイトの SEO 最適化。
- チェックアウト時のアップセルとクロスセル。
サイトだけでなく、商品やサービスに関連するページも市場を意識して作成しましょう。画像や商品の説明は、正確で高品質なものにしてください。
中小企業の経営と e コマース ウェブサイトの管理は、急な学習曲線になる可能性があります。調子をつかむまでは時間が必要です。取り組みと結果を常に記録して、何が順調に進んでいて、何がうまくいっていないかを把握しましょう。

e コマース ビジネスの運営を成功させるためのヒント
e コマース ビジネスを始めるには、多くの時間と労力が必要です。一方で、産業が拡大、発展していく中で、豊富なツールやリソースを活用して経験を積み、盛況なオンライン販売コミュニティの一員に加わることができます。
最初は、小規模から始めることができます。需要の高い商品やサービスを中心に扱い、強固な顧客基盤を築いてから、もっと冒険的な事業に参入できます。
他のビジネスと同様に、e コマース ショップの運営は、短距離走ではなくマラソンのようなものです。初年度の利益は少ない、あるいはないに等しいかもしれません。ビジネスが軌道に乗るまで時間がかかるかもしれません。これは普通のことです。初年度の利益が予想より低くても慌てる必要はありません。
ショップを立ち上げたら、サイトをそのまま放置しないでください。顧客インサイトを収集し、専門知識を磨きながら、継続的に微調整や改善を加えていきましょう。