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クラウド コンピューティングの定義とその仕組み

読了目安:8 分

2024 年 9 月 29 日

クラウドの仕組み

まず重要な点として、クラウドも従来のコンピューティングと同様、物理コンポーネントが必要であることをはっきりさせておきます。お使いのパソコン上にファイルが保存されていなくても、世界のどこかにあるハードウェアには保存されている必要があります。Dropbox のようなクラウド サービスに何かをアップロードすると、そのファイルはインターネット経由でサーバー(実体のある本物のサーバー)に送られます。クラウド サービスを提供する企業は、「サーバー ファーム」と総称される何百台、何千台もの物理サーバーを世界中のデータ センターに設置することになります。

つまり、ごく単純化して言えば、クラウドは世界中に散らばっているサーバーやデータ センターの集合体で、データはそこに保存されます。基本的には、すべてのファイルを置いておけるデジタル ストレージ ユニットなので、インターネットに接続しているデバイスさえあれば、いつでもデータにアクセスできます。

クラウドにファイルを保存すると、オンラインに保存することになります。適切なリソースとインフラがあれば誰でも独自のクラウドをホストすることができますが、簡単なことではありませんし、決して安くもありません。ですから、クラウド サービスとは何かといえば、Dropbox のようなプロバイダが提供するハイレベルのサービスのことを指しています。

電気を例に取ってみましょう。家の中に自家用発電機を設置して維持するには、かなりの費用がかかり、ものすごい量のメンテナンスが必要になります。だから私たちは、誰でもアクセスできる発電機を運転しているエネルギー供給会社を利用し、自分が使った分の料金を支払っています。同じ意味で、独自にインフラを構築するよりも、クラウド サービス プロバイダがデータのホスティングと保管を行ったほうが、はるかに効率的で費用対効果が高いのです。

クラウド コンピューティングの例

クラウドは、最もわかりやすいのがデジタル ストレージ ソリューションですが、クラウドベースのサービスは他にも色々あります。クラウド コンピューティングは 3 種類のコア機能に分解できます。サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)の 3 つのモデルです。

サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)

IaaS は、データ ストレージからウェブ ホスティングまで、あらゆる用途にサーバーの容量を提供するクラウド プロバイダを指します。この場合、データやウェブ サイト、アプリの管理は自分で行うことになり、クラウド プロバイダはそのためのコンピューティング リソースを提供します。

Dropbox をファイル ストレージとして使うのは、IaaS の一例です。Dropbox がデータをホストするサーバーを提供し、データへのアクセス、変更、追加は自分で好きなように行うことができます。私たちが閲覧しているウェブサイトは、ほとんどがクラウドを通じてホストされていますが、これは IaaS モデルのおかげです。

 

サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)

PaaS は IaaS に似ていますが、クラウド プロバイダがコントロールする事柄が少し多くなります。

かつては、ソフトウェアを開発してローカルでテストするのは、時間も費用も場所も必要となる作業でした。PaaS はバックエンドの開発とテストのための仮想プラットフォームを提供し、サーバーとストレージはすべてプロバイダが管理したままで、プログラマーがオンラインでソフトウェアを開発できる仮想フレームワークを実現します。つまり、オンプレミスで開発、テストすることで損失のリスクを冒すのではなく、PaaS モデルが仮想的なソリューションを提供するのです。

 

サービスとしてのソフトウェア(SaaS)

SaaS とは、クラウドを介して実行されるすべてのソフトウェアのことです。たとえば Dropbox Sign を考えてみましょう。このクラウドベースのアプリを使用すると、紙とペンを用いることなく、法的拘束力のある書類にオンラインで署名できます。また、どのデバイスからでもアプリにアクセスできます。

まとめると、IaaS モデルは利用者が自分のリソースに関して行えることが最も多く、ホスティングやストレージの管理者向けです。PaaS モデルは利用者が行えることがやや少なく、ソフトウェアを構築する開発者向け、そして SaaS モデルは行えることが最も少なく、日常的に利用するユーザー向けです。

Dropbox のファイル管理インターフェースには、フォルダ、ファイルのプレビュー、そして PDF の作成や編集、署名の取得、共有のオプションが表示されます。

さまざまなクラウド環境

クラウドの基本的な環境は 4 種類あり、どの IT インフラストラクチャも以下の 4 種類のいずれかに該当します。

 

パブリック クラウド

パブリック クラウドとは、誰でも利用できるクラウド サービスのことです。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud と Google ドライブ、iCloud、Dropbox は、どれもパブリック クラウド サービスです。たとえば Dropbox の場合、利用者は Dropbox の共有サーバー スペースの一部を借りています。

パブリック クラウドは 1 つの共有環境です。巨大なオフィスに似ていますが、エンドユーザーそれぞれに、安全な専用デスクと専用キャビネットが与えられます。この安全な専用スペースは、仮想マシンとも呼ばれます。

仮想化によって、1 つの物理サーバー上に分離された安全なスペースを構築し、エンドユーザーがそれぞれ自分だけの仮想マシンを持てるようにしています。このように仮想化は、サーバーの物理ハードウェアをフルに活用できるようにします。この効率性により、誰でも必要なときに低コストでクラウド サービスを利用できるのです。

 

プライベート クラウド

プライベート クラウドは、仮想マシンとすべてのクラウド インフラを 1 件の顧客の専用にします。インターネットを介してすべてをホストすることになるのは同じですが、データをホストするサーバーは顧客が自分専用として利用します。セキュリティを強化するためにプライベート クラウド サービスの利用を選択する顧客もいれば、パフォーマンス向上のためにプライベート クラウドの利用を必要とする顧客もいます。

 

ハイブリッド クラウド

ハイブリッド クラウドは、社内のサーバーとパブリック クラウドのサーバーを両方利用して、大容量のドキュメントや非公開の文書はプライベート クラウドに、それ以外はパブリック クラウドに保管できるようにする方法です。

 

マルチクラウド

マルチクラウドとは、プライベートとパブリックの組み合わせではなく、複数のパブリック クラウド プラットフォームを利用する場合を指します。マルチクラウド ソリューションが生まれるのは、クラウド サービス プロバイダによって提供しているサービスが異なり、1 つの企業がその全サービスを必要とすることがあるためです。

安全なクラウド ストレージにファイルを保存

ドキュメント、写真、動画など、ファイルやフォルダはすべて、安全なオンライン クラウド ストレージに保管しましょう。

企業に見るクラウドの使い方

企業でのクラウド コンピューティングには、単なるストレージ ソリューションとしての役割をはるかに凌ぐメリットがあります。現代のビジネス シーンにおいてクラウド コンピューティングは、生産性向上、効率化、事業拡大、組織化を推進するために欠かせない要素になっています。ここでは、クラウド コンピューティングのメリットの一部を紹介します。

 

コストの節約

オンプレミスですべてを行うと、非常にコストがかかります。クラウドを利用すれば、IT システムや機器をオンサイトで維持するための出費は不要です。従量課金制サービスであるクラウド コンピューティングは、ハードウェアだけでなく、人件費やエネルギー消費のコストも大幅に削減します。さらに、IT の問題に対処するための時間が減るので、目標に集中できる時間が増えます。

 

ディザスター リカバリ

クラウドにすべての重要なファイルとデータをバックアップすることは、データ保護対策の一環として非常に効果的です。すべてを 1 か所に保管すると、大きなリスクを負うことになります。自然災害からマルウェア攻撃など、何らかの不可抗力による損害はいつ発生するかわかりません。そこでクラウドは、複数の場所にある複数のサーバーにデータをバックアップするという、非常に重要なサービスを提供しています。

 

データ保護

一部の人の想像とは裏腹に、クラウド コンピューティング サービスは、機密性の高いデータに対しても優れたクラウド セキュリティを提供します。自分の目の届く場所に置いておくほうが安全に思えるかもしれませんが、たとえて言うとクラウドは銀行の金庫のようなものです。クラウド サービス プロバイダは、データを暗号化し、データを安全に保護することを最優先に考えます。

銀行の金庫が貴重品を保管するうえで最も安全な手段であるように、クラウドはデータを保管するための最も安全な手段となるよう設計されています。ほとんどの場合、クラウド ストレージを自分に合った方法で利用できるように、独自のセキュリティ設定を行うことができます。

 

拡張性

クラウド コンピューティングは、企業の成長に柔軟性をもたらします。ビジネスが大きくなれば、運用に必要なスペースや時間、コストが増えますが、必要に応じて利用できるクラウドがあれば、仮想環境によってビジネスの成長を促進することができます。

一方、ビジネスが縮小しても、不要になった機器やリソースにお金を払う必要がありません。クラウド コンピューティング サービスでは、使った分だけお金を払えばよいからです。

 

柔軟性

すべてがクラウドを介して保存、運用されているため、どこにいても柔軟に仕事ができます。職場の概念が進化し続ける中、クラウド コンピューティングは企業がバーチャルに機能するための基本的な役割を果たしています。クラウド コンピューティングを利用すると接続もしやすく、モバイル デバイスからファイルやデータに簡単にアクセスできます。

 

共同作業

クラウドでファイルの保存だけでなく作成や編集も行い、安全に保存できるので、より効率的な共同作業が可能です。クラウド コンピューティングを利用すれば、10 人のチーム メンバーがそれぞれ異なる場所から同じドキュメントを使って作業できるため、チーム内での組織管理やリソース管理がこれまで以上に簡単になります。

ウォーター クーラーの周りに集まった人々。共有アクセスを象徴し、クラウド コンピューティングの概念を表しています。

個人で利用する場合のクラウド コンピューティングのメリット

自宅でクラウド ソリューションを使用することで得られるメリットはたくさんあります。

一番わかりやすいメリットは、もちろんデバイスのメモリ容量を節約できることです。現在クラウド ストレージを利用していない方は、ほとんどのファイルをパソコンやスマートフォンに保存しているのではないでしょうか。そのデバイスの容量が足りなくなると、おそらく外付けハード ドライブを選び、その容量がなくなると 2 台目の外付けハード ドライブを追加し、またなくなれば追加するというのを繰り返すことになるでしょう。そしてあるとき、以前のドキュメントを急ぎで使う必要がある場合に、なかなか見つからないという事態になってしまいます。

すべてのファイルを 1 つの仮想的な場所に保存しておけば、個人のデバイスの容量を消費することなく、すべてを整理して管理し、ハードウェアの購入費用を節約できます。大量のファイルをクラウドに移行することで、デバイスのパフォーマンスを向上させることもできます。

大切な人との共有もずっと簡単になるので、たとえば、家族の誰もがアクセスできる共同フォト アルバムを設定することもできます。

クラウド コンピューティングを再定義し、デバイスの空き容量を増やすためにクラウド・コンピューティングを試してみるよう勧め、最後に Dropbox のスマート ワークスペースへの CTA を載せる。

年配の人と若者が一緒にスマートフォンを見ている様子。クラウド コンピューティングを通じた情報へのアクセスを表しています。

Dropbox でのシンプルで安全なクラウド ストレージ

クラウド コンピューティングによって、インターネットに接続されたあらゆるデバイスからデータにアクセスできます。Dropbox を使えば、操作はこれまでにないほど簡単です。

Dropbox は、世界初のスマート ワークスペースの開発に取り組んでいます。スマート ワークスペースでは、仕事で使うすべてのコンテンツとツールを 1 か所に集約し、Dropbox の生産性向上アプリから簡単にアクセスできます。複数のプラットフォームやアプリ、コンテンツを行き来する必要がなく、すべてを同じ場所で使えるので、柔軟な IT 管理が実現します。

また、Dropbox の高度なセキュリティ インフラストラクチャにより、個人用ファイルも仕事用ドキュメントと同様に安全に保存し、不正アクセスからファイルを保護できます。すべてのファイルをクラウドに安全に保存しながら、デバイスの容量を空けることができます。

クラウド コンピューティングに関するよくある質問

はい。Dropbox は、個人や企業がクラウド上でファイルを安全に保存、共有、編集できるクラウド ストレージ サービスです。

ハイブリッド クラウド ストレージとは、ファイル ストレージの目的で、内部のクラウド サーバーと外部のクラウド サーバーの両方の使用を組み合わせたものです。大容量ファイルや機密ファイルは社内に保存するほうがよい場合がありますが、他のファイルはすべてパブリック クラウドに保存できます。ハイブリッド クラウド ストレージ プロバイダを利用すると、1 つのプラットフォームでこれらのデータ ストレージ手法を両方とも使用できます。

クラウド サービス プロバイダは、クラウド コンポーネントを製品として提供する企業です。一般的な製品には、クラウドベースのプラットフォーム、インフラストラクチャ、アプリ、ストレージ ソリューションなどがあります。独自のデータ センターを所有するのではなく、従量課金制のクラウド サービス プロバイダを通じてデータを保存するので、お金と時間の両方を節約できます。

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